2010 Fiscal Year Annual Research Report
ファゴソームからRab GTPaseをかい離させる結核菌因子の探索
Project/Area Number |
21790415
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀬戸 真太郎 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50383203)
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Keywords | 結核菌 / ファゴソーム / プロテオミクス解析 / 二次元電気泳動 / LC-MS/MS |
Research Abstract |
結核菌ファゴソームのプロテオミクス 結核菌のファゴソーム内での増殖を支持する宿主因子を探索するため、結核菌ファゴソームのプロテオミクス解析を行った。生化学的に単離した結核菌ファゴソームのプロテオミクス解析によって、結核菌ファゴソームに含まれるタンパク質を網羅的に同定した。M.tuberculosis ErdmanをRaw264.7マクロファージに感染させて、ファゴソーム画分をショ糖密度勾配遠心分離法によって単離した。二次元電気泳動法によって展開した結核菌ファゴソーム画分において、銀染色によって200以上のスポットが観察された。リソソーム特異的なタンパク質スポットは見つからず、calreticulin、Grp78、PDIなど小胞体特異的タンパク質が顕著なスポットであった。このことは結核菌ファゴソームと小胞体由来膜小胞の融合、もしくは小胞体と直接融合することを示唆する。次に、結核菌ファゴソーム画分抽出タンパク質の網羅的同定をLC-MS/MS法によって行った。SDS-PAGEで結核菌ファゴソーム画分を展開して、銀染色を行った。切り出したバンドからトリプシン処理後、断片ペプチドを抽出した。抽出したペプチドをnano-LC-MS/MSによって質量解析を行った。結核菌ファゴソーム画分には後期エンドソームマーカータンパク質であるRab7やv-ATPaseのサブユニットタンパク質、リソソームマーカータンパク質であるLAMP-1やLAMP-2などが含まれていた。また、ミトコンドリア特異的シャペロンのCH60も含まれていた。さらに、小胞体タンパク質であるGrp78、PDI、リボソームサブユニットタンパク質も同定した。このことは、結核菌ファゴソームは後期エンドソームやリソソームと融合することができること、しかし、小胞体由来小胞との融合が優先されるために結核菌ファゴソームのファゴソーム熟成が阻害されることを示唆する。
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