2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌エンテロトキシンのクローディンへの結合様式の解析
Project/Area Number |
21790418
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸嶋 ひろ野 Osaka University, 微生物病研究所, 特任研究員 (10400532)
|
Keywords | 細菌毒素 / ウエルシュ菌 / クローディン |
Research Abstract |
本研究は、食中毒の原因となるウエルシュ菌エンテロトキシン(Clostridium perfringens enterotoxin、CPE)と、その受容体であるクローディン(Cldn)の認識結合機構を解析し、本毒素の細胞膜傷害機構を明らかにすることを目的としている。 Cldnはタイトジャンクションを構成する4回膜貫通型タンパク質であり、少なくとも24の異なる分子種が存在する。CPEはこのうち特定のCldnのみを認識して毒作用を発揮する。本研究では、これらのうちCPEに感受性のあるCldn4あるいはCldn7、CPEに感受性のないCldn5を用いて種々のキメラCldnを作製し、CPE受容体のないL929細胞に発現させてCPE感受性を検討した。その結果、CPE感受性の第二細胞外ループのC末端側12アミノ酸領城(CPE sensitivity-related region、CPE-SRとした)が、CPEとの結合に必要であることを明らかにした。さらに、CPEに対する感受性の高いCldnは感受性の低いCldnに比べて、CPE-SRの等電点が高い傾向にあることがわかった。実際に、アミノ酸置換によりCPE-SRの等電点を変えることによって、CPE感受性を任意に変えることができた。一方、CPEの立体構造から、Cldnと結合するクレフト部分は負に帯電していることが予測された。このことから、感受性CldnのCPE-SRの正電荷が、負電荷を持つCPEとの相互作用に重要であることが示唆された。 以上の結果から、CPEの受容体認識には受容体であるCldnのCPE-SRが必須であり、しかもCPE-SRとCPEとの間の静電的引力が両者の相互作用に大きな影響を与えていることがわかった。
|
Research Products
(1 results)