2009 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎ビブリオ耐熱性溶血毒の細胞傷害機構の解析と脂質ラフトプローブとしての応用
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21790420
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 重輝 Osaka University, 微生物病研究所, 特任研究員 (30506499)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / 耐熱性溶血毒 / 細胞傷害性 / 脂質ラフト |
Research Abstract |
我が国における主要な食中毒原因菌である腸炎ビブリオの産生する耐熱性溶血毒(TDH)は本菌の主要な病原因子であるが、その培養細胞に対する細胞傷害性については不明な点が多い。これまでの解析により、TDHの細胞傷害性に脂質ラフト(ラフト)が重要であり、TDHはラフトとassociateするという成績が得られている。本研究では、TDHの細胞傷害性発現におけるラフトの役割を明らかにするとともに、TDHを用いたラフトに対するプローブの作出を目的とした。まず、TDHのエピトープタグ融合体を作製し、その細胞上での分布を観察した。その結果、TDHのエピトープタグ融合体の分布はラフトプローブであるコレラ毒素Bサブユニットと類似するものの、異なるパターンを示した。一方、非ラフトタンパク質であるトランスフェリン受容体の分布とは完全に異なっていた。さらに、TDHの生細胞上での時空間的挙動を観察するためにTDHの直接蛍光標識体を作製し、その細胞傷害性と細胞上での分布を確認した。その結果、この蛍光標識体は細胞傷害活性が完全に残存しており、細胞上での分布パターンもタグ融合体と類似していた。このことから、作製した蛍光標識TDHはラフトへのassociation能に変化がないと考えられた。また、TDHの細胞傷害性がラフトからのエンドサイトーシスと関係する可能性を検討した。しかしながら、既知のエンドサイトーシス阻害による、TDHの細胞傷害性への影響は見られなかった。このことから、TDHの細胞傷害性に既知のエンドサイトーシス経路が関係する可能性は低いと考えられた。今後、TDHの無毒変異体においても同様の蛍光標識体を作製し、その細胞上での分布を解析し、ラフトプローブとしての可能性を検討していく予定である。
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Research Products
(3 results)