2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウスモデルを用いたA群連鎖球菌劇症型感染症の発症抑制
Project/Area Number |
21790425
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
立野 一郎 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 講師 (50311642)
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Keywords | 人喰いバクテリア / 連鎖球菌 / レンサ球菌 / Nga / IFS |
Research Abstract |
A群連鎖球菌は、古くから咽頭炎、狸紅熱などの原因菌として知られていたが、近年劇症型感染症の起因菌となる例が報告されるようになってきた。病気の分子機構は未だ不明な点が多いが、病原因子は大きく2種類に分類することが可能である。前者は、宿主を攻撃する毒素などである。後者は、宿主による攻撃から身を守る防御因子である。このような菌の特徴を抑制することができれば病原性を低下させることができる可能性がある。そこで、本研究ではマウス感染モデルを用いて、A群連鎖球菌による劇症型感染症の発症を抑制する方法について研究を行なった。 本年は、菌体外分泌毒素Ngaをターゲットとして選択した。交付申請書に記載した「研究実施計画」に従ってヒスチジンのタグを付与した組み換えIFSタンパク質(His-IFS : IFSはNgaに結合し、その毒素活性を中和するタンパク質であり、A群連鎖球菌が自己を守るために保持している)を菌液と共にマウスに接種し1週間での致死率を記録した。A群レンサ球菌は当研究室で保有する劇症型感染症患者由来の臨床分離株の内マウスに対し2番目に病原性の高いGT01株、及び最も病原性が高いCR01株を使用した。GT01はHis-IFSの投与群のマウス致死率は有為に改善した。一方、CR01では若干の改善する傾向は見られたものの統計的に有為な差は見られなかった。続いて、His-IFSをアンピシリンと同時に投与したところアンピシリン単独投与に比較して、CR01株に対しても病原性を減少させる効果を観察した。 以上の結果、(1) Ngaが生体内で病原因子として機能していること。(2) Ngaのを中和する物質は、治療薬として期待できることが示された。
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Research Products
(4 results)