2010 Fiscal Year Annual Research Report
宿主ヒアルロン酸を利用した結核菌の増殖機構および新規抗結核薬の開発
Project/Area Number |
21790426
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
仁木 満美子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20438229)
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Keywords | 結核 / ヒアルロン酸 / 抗結核薬 |
Research Abstract |
ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸の2糖による繰り返し構造から成るきわめて高分子のポリマーであり、脊椎動物において、関節や皮膚など広く生体内の細胞外マトリックスの主成分として含まれる。ヒアルロン酸は結核菌の感染に大きな役割を果たしており、菌が宿主細胞へ侵入する際の足がかりになるのみならず、菌の細胞外増殖における栄養源として利用されている可能性も示唆されている。本研究では、BCG菌体抽出蛋白質を細胞質画分および膜画分に分離し、ヒアルロン酸分解活性をMorgan-Elson法にて検討したところ、膜画分に酵素活性が存在することを明らかにした。また、この活性画分はヒアルロン酸分解酵素阻害剤であるascorbyl palmitateにより阻害されることがわかった。この酵素活性は結核菌およびBCGでは検出されたが、同じ抗酸菌においてもM.aviumおよびM.smegmatisでは検出されなかった。そこでBCG菌体より活性画分を粗精製し、当該画分に含有される蛋白質をLC/MSを用いて同定し、得られた蛋白質群をそれぞれコードする遺伝子の塩基配列を同定した。それらの配列を元に膜貫通領域の有無を推定した。その結果膜蛋白であると推定されるcelAおよびBCGO157について蛋白質発現プラスミドpGEX-6P-1、pET22bおよび大腸菌BL21株を用いて組換え蛋白質を作製発現させたが、ヒアルロン酸分解活性は見いだせなかった。
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