2009 Fiscal Year Annual Research Report
腸管病原性大腸菌の定着機構と粘膜免疫系の解析および腸管再構築感染モデルの検討
Project/Area Number |
21790428
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 武 Keio University, 医学部, 助教 (60418655)
|
Keywords | 微生物 / 免疫学 / 細菌 |
Research Abstract |
近年、腸管粘膜細菌による炎症性腸炎などにおいて、様々な病原因子、生体防御因子および外来微生物認識機構が解明された。また、粘膜免疫の研究が急速に進んでいるが、主な研究対象は小腸であり、大腸に関してはあまり進展が見られていない。そこで、大腸に感染し、重篤な炎症性大腸炎を引き起こすCitrobacter rodentiumを用いて、感染成立過程と排除機構を詳細に解析することを目的とする。特に研究の遅れている大腸の粘膜関連リンパ組織の動的および質的な変化を、Citrobacter rodentium感染モデルとして用いて解析を行うことを目的とした。C57BL/6マウスにC.rodentiumを経口投与すると、1週間~2週間感染が続き、3週間目ではほとんど除菌される。そこで、大腸におけるリンパ集積の変化を見るため、経口投与後経時的に大腸の凍結切片を作成した。これらを、Thy1.1、B220、CD11cなどの抗体を用いて蛍光免疫染色を行い、大腸上部のThy1.1^+、B220^+、CD11c^+のリンパ集積(クリプトパッチおよび孤立リンパ小節)の数を計測した。その結果、感染後2週間~3週間にかけて、数が減少した。組織に浸潤してきているリンパ球数が増加しているにもかかわらず、クリプトパッチの数が減少するという結果が得られた。今までの報告では、発生段階や腸管の部位によってクリプトパッチの数が変化するという報告はあったが、感染等による炎症でクリプトパッチの数が変化することは新しい知見である。クリプトパッチの形成メカニズムに関しては、多くの報告があるが、機能に関しての報告は未だに少ない。 また、腸管病原性大腸菌(EPEC)は、III型分泌装置を用いて宿主細胞をかく乱していることが知られている。そこで、III型分泌装置依存的に炎症反応を抑制するエフェクタータンパクのスクリーニングを行った。その結果、エフェクターの一部に、この抑制効果を示すことが明らかとなった。今後、詳しいメカニズムを解析していく予定である。さらに、上述の感染に伴うリンパ集積の変化と、このエフェクターとの関係も検討する予定である。
|