2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規受容体PEを介したボツリヌスD型神経毒素の細胞内侵入機構の解明
Project/Area Number |
21790430
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
塚本 健太郎 Fujita Health University, 医学部, 助教 (80434596)
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Keywords | ボツリヌス神経毒素 / P19細胞 / ガングリオシド / 毒素受容体 |
Research Abstract |
ボツリヌスC型およびD型神経毒素は他型と異なり、蛋白質受容体を介さずに細胞内に侵入すると考えられているが、その機構の詳細については明らかにされていない。また、本毒素に感受性のある有用な細胞株が確立されておらず、毒素の細胞内動態を研究する上で感受性細胞の確立は必須と言える。そこで、本研究では、マウスEmbryonal carcinoma由来のP19細胞に対する本毒素の作用について検討を行った。P19細胞をレチノイン酸で処理し、ニューロンに分化させた後、各種毒素の受容体結合ドメインの組換え蛋白(Hc)を作用させた。結合後、細胞内に侵入したHcをウサギ抗Hc抗体を用いて免疫染色し、蛍光顕微鏡で観察した結果、C型およびD型毒素共に細胞内に侵入していることが確認された。また、Biacoreで結合能が低下していたHcの一残基置換体について同様の実験を行ったところ、いずれの変異体もP19細胞への結合・侵入は認められなかった。さらに、神経毒素をP19細胞に処理し、C型、D型毒素の細胞内基質(Syntaxin 1AおよびVAMP 2)の切断を調べたところ、いずれの基質も毒素処理により切断されていた。このことから、P19細胞は本毒素に感受性があり、毒素の細胞内動態を調べる上で有用な細胞株であると考えられた。また、P19細胞をグリコシルセラミド合成阻害剤PPMPで処理し、ガングリオシドの発現を低下させた後、C型Hcを作用させたところ、Hcの細胞内侵入が認められず、さらにFACS解析でP19細胞に結合していないことが示された。このPPMP処理細胞にガングリオシドを添加したところ、Hcの結合・侵入の回復が見られた。これらの知見からC型毒素は、細胞表面のガングリオシドを介して作用していると考えられた。
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