2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規受容体PEを介したボツリヌスD型神経毒素の細胞内侵入機構の解明
Project/Area Number |
21790430
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
塚本 健太郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (80434596)
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Keywords | 細菌 / 蛋白質 / P19細胞 / ボツリヌス神経毒素 / 受容体 / ガングリオシド / ボツリヌス菌 |
Research Abstract |
ボツリヌス神経毒素はAからG型に分類され(BoNT/A-G)、神経終末に作用して弛緩性麻痺を引き起こす。毒素の作用機序解明のためには細胞レベルでの解析が不可欠であるが、BoNTに高い感受性を示す有用な細胞株はいまだ確立されていない。本研究では、神経細胞に分化誘導したP19細胞がBoNTに対して高い感受性を示すことを証明するため、これまで毒素感受性細胞としてよく用いられてきた初代培養海馬神経細胞及びマウス神経芽細胞腫由来のNeuro2a細胞と比較検討を行った。BoNT/C或いはBoNT/DCで細胞を処理し、細胞内基質であるSyntaxin-1、SNAP-25、VAMP-2の切断を調べたところ、P19細胞のこれら基質は海馬神経細胞内のものと同程度切断されていたが、Neuro2a細胞内の基質は全く切断されなかった。また、受容体結合領域であるHc蛋白の細胞内への取り込みをみた結果、いずれのHc蛋白もP19細胞と海馬神経細胞内には取り込まれたが、Neuro2a細胞にはほとんど取り込まれなかった。これらのことより、P19細胞は初代培養神経細胞と同程度の毒素感受性を示すことがわかった。この毒素感受性と細胞表面のガングリオシドの局在との関係性を明らかにするため、細胞表面のガングリオシドGM1をコレラ毒素Bサブユニットを用いて、可視化観察した結果、細胞表面のガングリオシドはNeuro2a細胞よりもP19細胞、海馬神経細胞で多く発現していることがわかった。以上のことから、本研究で見出したP19細胞は、高感受性ではあるが大量調製や手技の煩雑さといいう欠点を持っていた初代培養神経細胞に換わる、新たなボツリヌス毒素感受性細胞株として、毒素作用解明にむけた基礎的研究の発展に貢献できると考えられる。
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