2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌α毒素によるIL-8分泌メカニズムの解明
Project/Area Number |
21790431
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
小田 真隆 Tokushima Bunri University, 薬学部, 講師 (00412403)
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Keywords | ウエルシュ菌 / α毒素 / A549細胞 / ガングリオシド(GM1) / TrkA |
Research Abstract |
【目的】ウエルシュ菌によるガス壊疽の原因毒素であるα毒素は、血液内に移行すると溶血やサイトカインストーム、そして、肝臓や肺への著しい好中球の集積を引き起こす。所属する研究室は、好中球の浸潤に密接に関与するIL-8に注目し、α毒素処理細胞からのIL-8遊離メカニズムについて解析を行ってきた。また、本毒素による好中球の活性酸素産生作用に三量体GTP結合タンパク質Giを介した内因性PLCの活性化とチロシンキナーゼ関連受容体であるTrkAの活性化が関係していることを明らかにしてきた。そこで、α毒素によるIL-8の遊離とTrkAの関係を検討した。 【方法・結果】TrkA阻害剤(K252a)及びsiTrkA処理細胞にα毒素を作用させた場合、毒素によるIL-8遊離は有意に抑制された。また、TrkAノックダウンA549細胞への毒素の結合を分析した結果、毒素の結合の有意な低下が認められたことから、本毒素によるIL-8遊離へのTrkAの関与が明らかとなった。そこで、Cy3ラベルα毒素とAlexa488ラベル化TrkA抗体の局在を共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、両者の共局在が認められた。次に、TrkAは、ガングリオシドの一つであるGM1と隣接していることが報告されていることから、GM1の蛍光ラベル体であるBODIPY-GM1とCy3ラベルα毒素の局在を共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、GM1と本毒素の共局在が認められた。また、ノイラミニダーゼ処理細胞からのIL-8遊離の抑制が認められたことから、α毒素の細胞への結合にGM1のシアル酸が関与していることが判明した。 【考察】α毒素は、GM1とTrkAの局在領域を認識し結合後、一連のMAPKシグナルを活性化することによりIL-8遊離を惹起すると推察される。
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