2009 Fiscal Year Annual Research Report
Acinetobacter baumanniiの未解析多剤排出ポンプの機能解析
Project/Area Number |
21790432
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
関谷 洋志 Matsuyama University, 薬学部, 助教 (70454890)
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Keywords | アシネトバクター / 多剤排出ポンプ / 抗生物質 / 微生物 / 感染症 |
Research Abstract |
A. baumanniiの多剤耐性に大きく寄与すると考えられるRND family多剤排出タンパク質と推定される9個の遺伝子に注目し、それらの遺伝子の前後領域領域にある外膜タンパク質、menbrane fusion proteinとともにTCC17978株からクローニングした。それらの遺伝子を抗菌薬高感受性大腸菌KAM32株(△acrB、△ydhE)に導入した株について、各種抗菌薬の最小生育阻止濃度(MIC)を調べた。その結果、AIS2304、2305、2306を導入した株で色素系抗菌薬であるacriflavineに対するMICが4倍上昇したが、それら以外の株では抗菌薬感受性の変化はみられなかった。MICが上昇した株には、外膜タンパク質と考えられる遺伝子(AIS2306)が導入されていた。宿主として用いた大腸菌KAM32株は外膜タンパク質としてTolCを持っているが、A. baumanniiの由来の排出ポンプの機能発現にはA. baumannii由来の外膜タンパク質の有無が関与しているのではないかと考えられた。 そこで、ATCC17978株から、大腸菌の外膜タンパク質TolCと高い類似性を示すA1S255、緑膿菌の外膜タンパク質OprMと高い類似性を示すA1S535をクローニングし、それらを多剤排出ポンプとして機能すると報告されているadeBホモログ(A1S1750)の下流に組み、外膜タンパク質のA1S255、535の影響を調べた。しかし、それらの外膜タンパク質の有無による抗菌薬感受性に変化はなく、他の外膜タンパク質が関与していると考えられた。 これら未解析の多剤排出ポンプの性質や役割を明らかにすることで、個々の多剤排出ポンプの抗菌薬耐性に対する寄与およびアシネトバクターの多剤耐性機構の全体像を明らかにできると考えられる。
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