2010 Fiscal Year Annual Research Report
Acinetobacter baumanniiの未解析多剤排出ポンプの機能解析
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21790432
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
関谷 洋志 松山大学, 薬学部, 助教 (70454890)
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Keywords | アシネトバクター / 多剤排出ポンプ / 院内感染 / 多剤耐性菌 / 抗生物質 |
Research Abstract |
Acinetobacter baumanniiの多剤耐性に大きく寄与すると考えられるRND型多剤排出タンパク質と推定される9個の遺伝子(A1S 519、1750、2305、2660、2818、2932、3217、3445、3446)に注目し、それらの遺伝子の前後領域領域にある外膜タンパク質、menbrane fusion protein等の遺伝子とともにATCC17978株からクローニングした。それらの遺伝子を抗菌薬高感受性大腸菌KAM32株(△acrB、△ydhE)に導入した株について、各種抗菌薬の最小生育阻止濃度(MIC)を調べた結果、A1S 2304、2305、2306を導入した株だけがacriflavineに対するMIC値に4倍の上昇がみられた。KAM32株に形質転換後に抗菌薬感受性に変化がみられた遺伝子群には、外膜タンパク質と推定される遺伝子(A1S 2306)が含まれていた。宿主として用いたKAM32株は外膜タンパク質としてTolCを持っているが、A. baumannii由来の排出ポンプの機能発現には、A. baumannii由来の外膜タンパク質の有無が関与しているのではないかと考えられた。そこで、それらの遺伝子群を導入した株に大腸菌、緑膿菌の外膜タンパク質TolC、OprMと類似性の高いA. baumanniiの遺伝子(A1S 255、535、1241、1769、2306、2737)を導入した。しかし、A1S 2304、2305、2306の組み合わせ以外の遺伝子群では抗菌薬感受性に変化はなく、他の外膜タンパク質が関与していることも考えられた。今回、大腸菌を宿主として解析を行ったが、A. baumanniiを宿主とした機能解析を行うことで、本来の機能が明らかにできるのではないかと考えられる。これら未解析の多剤排出ポンプの性質や役割を明らかにすることで、個々の多剤排出ポンプの抗菌薬耐性に対する寄与およびアシネトバクターの多剤耐性機構の全体像を明らかにできると考えられる。
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