2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790433
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
石原 朋子 National Institute of Infectious Diseases, 細菌第一部, 研究員 (30450555)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 細菌 |
Research Abstract |
赤痢菌はグラム陰性病原細菌の一つで、腸管上皮細胞に侵入し上皮細胞を破壊することによって炎症性下痢を引き起こす。平成21年度においては、赤痢菌の病原性プラスミドの部分欠失変異株の解析から、破壊抑制因子の候補として病原性プラスミド上の複数の箇所に存在する遺伝子産物が関与している可能性が示唆された。また、破壊抑制因子の候補の一つとして感染細胞の形態維持に働くOspE2が含まれる。これは、OspE2が感染細胞の形態を維持することによって急激な細胞破壊を抑制すると考えられるためである。次に、破壊抑制因子欠失変異株が感染上皮細胞に引き起こす現象およびそのプロセスを調べるために、抗リン酸特異抗体を用いた抗体マイクロアレイ解析によって感染上皮細胞の細胞内シグナル伝達経路をモニタリングした。OspE2遺伝子欠失変異株を感染させた細胞では、DNAの損傷や修復に関与する因子において、発現量あるいはリン酸化/脱リン酸化の変動が認められた。また、細胞接着の喪失などのダメージシグナルに関与するBmf (Bc12 modifying factor)の変動が認められた。Focal adhesionに存在するFAKにおいては、自己リン酸化および酵素活性に関与するリン酸化/脱リン酸化に大きな変動は認められず、p1306<Cas>へのFAK結合の調節に関与するリン酸化において変動が認められた。赤痢菌は上皮細胞の破壊を「昂進する作用」と「抑制する作用」を持ち、細胞破壊を制御すると考えられることから、上述の細胞内シグナルに関与した細胞破壊を昂進する赤痢菌側因子の存在が推測された。
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Research Products
(6 results)