2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790433
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
石原 朋子 国立感染症研究所, 細菌第一部, 研究員 (30450555)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 細菌 |
Research Abstract |
赤痢菌はグラム陰性病原細菌の一つで、腸管上皮細胞に侵入し上皮細胞を破壊することによって炎症性下痢を引き起こす。これまでの研究から、赤痢菌は効率的ならびに持続的な感染を成立させるために宿主細胞内シグナルに関与する結果、上皮細胞の破壊を「昂進する作用」と「抑制する作用」を持つことが示唆された。感染上皮細胞の細胞接着斑の分解を抑制する機能を持つOspE2は破壊抑制因子の一つと考えられ、これに拮抗する菌側因子としてRho GTPaseシグナル伝達経路を干渉するIpgB2およびVirAが推測された。これらの結果と整合するように、腸管出血性大腸菌のespO1-1 espO1-2(OspE2ホモログ)変異株感染細胞において認められた細胞破壊は、EspM2(ipgB2ホモログ)の欠失、すなわちespO1 espM2変異株感染によって細胞接着斑およびアクチンフィラメントの回復が認められた。また、espO1-1 espO1-2変異株感染細胞の細胞破壊はRhoA-ROCKシグナル伝達経路の阻害によって抑制することができた。そこで、GST融合EspO1-2を作製し、Rho GTPaseシグナルを活性化することのできる複数の菌側因子との生化学的な結合実験を実施した結果、EspO1-2とEspM2の結合を確認した。これらの結果は、赤痢菌による細胞破壊においてもIpgB2およびVirAによるRhoAシグナル伝達経路の活性化が関わってることを示唆する。
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