2009 Fiscal Year Annual Research Report
デングウイルス感染者個体内擬似種とその細胞嗜好性の解析
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21790444
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒須 剛 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (70432432)
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Keywords | デングウイルス / ウイルス疑似種 / 多様性 / 感染性クローン / ウイルス感染症 / 蚊媒介性疾患 / ウイルス性熱性疾患 / フラビウイルス |
Research Abstract |
<デングウイルス感染者個体内擬似種の性状・遺伝子配列解析> デングウイルス感染者個体内擬似種の遺伝・系統学的解析のために、一次感染、二次感染それぞれの感染者血清からEnv領域をRT-PCR増殖、プラスミドヘクローニングし、遺伝子配列解析を行った。その結果、2型デングウイルスでは一次感染者由来のウイルスにはより広い多様性が観察された。後者では、遺伝子置換が少ないが、アミノ酸置換を伴う置換の割合が高かった。両者のウイルスはプラ-クサイズ、培養細胞での増殖性で異なる性状を持っていること、遺伝子解析の結果から、性状の異なるウイルスが感染者体内に存在、宿主免疫による異なる選択が起こっていると考えられた。これらの観察は臨床像と関連があると考えられた。デングウイルス感染性クローンを用い、これら遺伝子置換のウイルス性状への影響を解析中である。 <新規のウイルス分離・解析方法の開発> デングウイルスは、特に臨床分離株の場合培養細胞での増殖性が悪く、何度も継代を繰り返さなければ使用に十分な力価を得られなかった。従来の方法では、継代によりウイルス遺伝子に変異が誘導される可能性が非常に高く、多様性解析には大きな障害であった。この点を解決するため、継代を経ないウイルス遺伝子を直接RT-PCRで増幅し、デングウイルス感染性クローンを作成した。感染性クローンから従来の方法でウイルス回収を行うと、低回収量のため、やはり何代かの継代が不可欠であり、臨床分離ウイルス由来のものではより顕著であった。今年度この点を飛躍的に改良し、蚊由来細胞とVero細胞を共培養することで、トランスフェクション後3日で高力価のウイルス粒子を回収することが可能になった。この方法を用いて、臨床分離株について解析し、従来方法では同定困難であった変異ウイルスを同定した。さらに実際に培養細胞中で変異を誘導し、ウイルス集団がスイッチしていくことを証明した。
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Research Products
(3 results)