2009 Fiscal Year Annual Research Report
(-)鎖RNAウイルスゲノム複製における極性制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
21790447
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
入江 崇 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70419498)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
(-)鎖RNAウイルスの複製に於いて、(+)鎖のRNA合成(ウイルスmRNA合成とアンチゲノム合成)と(-)鎖のRNA合成を適切に制御することが必要であることが古くから考えられているが、その仕組みについては単純は(-)鎖及び(+)鎖RNA合成プロモーターの強度の差に依存する可能性以外には、ほとんど明らかにされていなかった。我々は、センダイウイルス(SeV)のアクセサリー蛋白質の一つであるC蛋白質がウイルスゲノムRNA合成の極性を最適化しており、その結果として、感染性ウイルス粒子の産生効率を最適化していることを明らかにした(lrie et al., 2008)。 本年度は、この成果を基に、ウイルスゲノムRNAの3'及び5'末端プロモーター領域(Le及びTr)を入れ換えた組換えウイルスの作製を試み、野生型(WT)SeVをベースにしたものについては感染性ウイルスが得られたが、C蛋白質の発現を欠損した組換えウイルスrSeV-4C(-)をベースしたものではウイルスが回収できなかった。 得られたウイルスの解析から、野生型(Le-Tr)に対してプロモーター領域をLe-Le及びTr-Trに組み換えたものでは若干の感染価の低下が、また、Tr-Trウイルスではさらに感染価の低下が見られたが、いずれの場合にもウイルスの増殖に致命的な影響はなく、Le及びTrのいずれのプロモーターでも効率の差はあるもののウイルスmRNA合成及びゲノム長のウイルスRNA合成活性を持つことが示された。 また、本研究から派生して、C蛋白質が少なくとも3種類の異なる様式で、ウイルス感染による自然免疫誘導を抑制している可能性や、SeVのもう一つのアクセサリー蛋白質であるV蛋白質による新しい自然免疫誘導抑制機構、C蛋白質の一種であるY蛋白質による新しいインターフェロン応答阻害機構を報告した。
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Research Products
(5 results)