2010 Fiscal Year Annual Research Report
鳥インフルエンザウイルスの高病原性化メカニズムの解明
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21790451
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
岸田 典子 国立感染症研究所, インフルエンザウイルス研究センター, 研究員 (70435965)
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Keywords | ウイルス / 変異 |
Research Abstract |
H1~16亜型鳥インフルエンザウイルスのなかで、ニワトリに対して高病原性のウイルスはH5とH7亜型にしか認められない。インフルエンザウイルスのHA蛋白が宿主由来の蛋白分解酵素によりHA1とHA2に開裂することで、初めてウイルスは宿主細胞に感染可能となる。蛋白分解酵素は開裂部位に存在する塩基性アミノ酸を認識してHAをHA1とHA2に切断する。低病原性ウイルスはそのHA開裂部位に連続した塩基性アミノ酸が認められず、ニワトリの呼吸器と消化管から分泌されるトリプシン様蛋白分解酵素によってのみHAの開裂活性化を受けるため、呼吸器と消化管でしか増殖できない。それに対して、高病原性ウイルスはそのHA開裂部位に塩基性アミノ酸が多数連続して存在することで、ニワトリの全身の細胞に存在する蛋白分解酵素により開裂活性化されるため全身で増殖できる。H5とH7亜型のウイルスだけが高病原性を獲得する要因、すなわちH5とH7ウイルスのHA蛋白開裂部位にだけ連続した塩基性アミノ酸の挿入が起こる要因を明らかにするため、これまでの学術的背景から「H5とH7亜型の遺伝子には塩基性アミノ酸の挿入を誘引する特有の塩基配列がある」のではないかと推測し、これを実験的に証明することを目的とし、特定の遺伝子変異を持つウイルスの作出を試みた。今後は遺伝子変異を持つウイルスの作出の継続とそれらを用いて解析を行う。また渡り鳥から分離された非病原性のH5株について遺伝子解を行い、H5とH7亜型が持つ共通配列の検索を行った。その結果、このウイルスにも共通配列と考えられる配列が認められたので、この株についても解析を行った。
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Research Products
(2 results)