2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790452
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
西村 順裕 National Institute of Infectious Diseases, ウイルス第二部, 主任研究官 (00392316)
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Keywords | 手足口病 / エンテロウイルス71 / PSGL-1 / 感染症 / ムセブター / 蛋白質 / 生体分子 / 白血球 |
Research Abstract |
本研究の目的は、エンテロウイルス71(EV71)が白血球系細胞に感染する際に使用するレセプターを同定することである。本年度は、研究代表者が既にEV71レセプター候補として絞り込んでいたP-selectin glycoprotein ligand-1(PSGL-1)について、EV71レセプターの機能をもつかどうかを検討した。PSGL-1は主に白血球表面に発現するシアロムチンファミリー蛋白質で、セレクチンやケモカインとの結合により、初期炎症反応で重要な機能をはたす分子である。 まず、EV71とPSGL-1との特異的結合をフローサイトメトリーで検討した。PSGL-1を細胞表面に発現していない細胞にPSGL-1を発現させたところ、細胞表面にEV71が結合するようになった。その結合は抗PSGL-1抗体で阻害された。さらに免疫沈降法にて、PSGL-1の細胞外領域からなる可溶性PSGL-1(PSGL-1-Fc)とEV71が共沈することを確認した。このように、EV71とPSGL-1が特異的に結合することを明らかにした。 次に、EV71感染におけるPSGL-1の役割を検討した。EV71が感染しないマウス細胞にPSGL-1を発現させると、PSGL-1依存性にEV71が感染するようになった。さらに、PSGL-1陽性のヒトTリンパ球細胞株におけるEV71感染は、抗PSGL-1抗体で阻害された。っまり、PSGL-1は、EV71と結合するのみならず、感染にもかかわる機能的レセプターであることを示した。 以上のように、EV71の白血球系細胞におけるレセプターとして、PSGL-1を同定した。本研究成果は世界で初めてのEV71レセプター同定であり、Nature Medicine誌に発表した。
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Research Products
(4 results)