2009 Fiscal Year Annual Research Report
腸管粘膜におけるHIV-1特異的細胞傷害性T細胞の誘導機構に関する研究
Project/Area Number |
21790453
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
寺原 和孝 National Institute of Infectious Diseases, 免疫部, 研究員 (50469954)
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Keywords | ウイルス / 免疫学 |
Research Abstract |
新たなエイズワクチン戦略として、腸管においてHIV特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を効率良く誘導することは重要であると考えられるが、その誘導機構については殆ど知られていない。本研究では、抗原特異的IgA産生に重要であるとされるパイエル板が、果たして腸管での抗原特異的CTLの誘導においても重要であるのかを明らかにすることを目的とする。具体的にはバイエル板への指向性の異なるサルモネラ菌を担体とし、サルモネラ菌に発現させたHIV-1Gag抗原に対する免疫応答をマウスで解析する。また、ヒト化マウスにおいても同様に解析し、免疫応答が認められた際にはHIV-1感染実験を行い、感染防御効果を評価する。 平成21年度は本研究遂行において礎となる実験系の確立に主眼を置き、具体的に以下の実験を実施した。 1. HIV-1Gag発現サルモネラ菌の作製 パイエル板侵入性のサルモネラ菌野生株および非侵入性のinvA欠損株にGag-EGFP発現プラスミドを組込み、ウエスタンブロッティング、蛍光顕微鏡観察、フローサイトメトリーにより、それぞれの菌株にGag-EGFPが発現することを確認した。 2. ヒト化マウスの作製 生後1日目の免疫不全マウス(NOD/SCID/Jak3KOマウス)肝臓に、ヒト臍帯血由来造血幹細胞を移植することでヒト化マウスの作製を行った。移植後12週目以降でヒトCD4陽性T細胞の分化が、末梢血、脾臓、骨髄、腸間膜リンパ節、小腸粘膜固有層で認められた。また、ヒト化マウスにHIV-1をチャレンジした結果、CCR5指向性HIV-1・CXCR4指向性HIV-1ともに感染が成立することを認めた。 平成22年度は上記実験の成果に基づき、腸管におけるHIV-1 Gag特異的CTLの誘導機構の解析、また、ヒト化マウスを用いてHIV-1感染防御におけるCTLの機能的評価を行う。
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