2009 Fiscal Year Annual Research Report
エンテロウイルス71の第2の感染受容体の同定と解析
Project/Area Number |
21790454
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山吉 誠也 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (50529534)
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Keywords | ウイルス / エンテロウイルス / EV71 / レセプター / 手足口病 |
Research Abstract |
我々は、Enterovirus 71 (EV71)感受性細胞であるヒトRD細胞のゲノムDNAを非感受性細胞であるマウスL929細胞に導入しEV71感受性を有したマウス細胞を2クローン(Ltr051細胞とLtr246細胞)樹立した。 Ltr051細胞からはEV71の感染受容体SCARB2を同定した。本研究課題では、Ltr246細胞に存在する第2の感染受容体を同定することを目的とする。 まず、Ltr246細胞とL929細胞のそれぞれに発現しているmRNAをヒトに対するマイクロアレイ(アジレント社)により解析し、Ltr246細胞に特異的に発現しているヒト遺伝子由来mRNAの検出を試みた。いくつかの候補遺伝子がリストされたため、それらが本当にLtr246細胞に導入されているかをPCRを用いて確認したところ、2つのヒト由来の遺伝子(CCL2およびBCDIN3)がLtr246細胞に導入されていることが明らかとなった。そこで、L929細胞に2つの遺伝子がコードする蛋白質を発現させ、EV71が感染するかを確認した。しかし、CCL2およびBCDIN3のどちらかを発現させた場合、または両方を発現させた場合のどちらでもEV71の感染効率は上昇しなかった。次に、用いるマイクロアレイをアジレント社製のものから、タカラバイオ社製またはTORAY社製のものに変え、同様の解析を行った。いくつかの候補遺伝子がリストされたが、それらのヒト由来遺伝子DNAはLtr246細胞に導入されていなかった。 今回のマイクロアレイによる解析では、ヒトとマウスとのクロスハイブリによるバックグラウンドの影響が非常に大きく、特異的なシグナルの検出に至らなかったと考えられる。今後は、Ltr246細胞に発現しているmRNAの配列を網羅的に解析し、得られたシークエンスをBlastサーチし、ヒトに由来する配列を同定する方法や、2次形質転換細胞の樹立を予定している。
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