2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790462
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
広瀬 哲史 Niigata University, 医歯学系, 助教 (10415276)
|
Keywords | Bcl11b / T細胞 / CD4 / CD8 / 胸腺 / 免疫学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
Rit1/Bcl11bはT細胞腫生成の抑制作用を指標に当研究室で単離、同定されたがん抑制遺伝子であり、転写抑制因子をコードしている。T細胞分化にも重要で、β-selectionに必須であることを既に報告している。本課題以前に新たに判明したことは、Rit1/Bcl11bが細胞傷害性T細胞の分化にも重要であり、しかも、その遺伝子量や活性が強く影響していることである。申請者らのグループでは、Rit1/Bcl11bの機能を完全に欠失したノックアウトマウスを作製しているほか、化学変異原ENUによって誘発されたhypomorphicな変異を持つマウスや、条件欠損マウスを既に作製している。本研究では、これら変異マウスを解析し、細胞傷害性T細胞分化におけるRit1/Bcl11bの役割を明らかにする。Rit1/Bcl11b+/KOマウスではCD8SP細胞の数が著しく減少しており、1.CD8系列への運命決定が阻害されている可能性、2.分化後の生存、増殖が低下している可能性の2通りが考えられた。申請者は、Rit1/Bcl11b+/KO CD8SP細胞において、生存、増殖に重要であるIL-7受容体の発現が低下していることを見出した。実際は、Rit1/Bcl11b+/KO CD8SPにおいて増殖は変化しないものの、細胞死が増加することが示された。これらの結果は、少なくともCD8SPへの運命決定後において、Rit1/Bcl11bが生存に必要なことを示唆する。最近、positive selectionやその後のT細胞運命決定におけるRunx3やThPokなどの役割が注目されているが、これらの遺伝子と相互作用をしている可能性についても検討していく。
|