2009 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系における核内IκBタンパク質の役割の解明
Project/Area Number |
21790467
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 雅裕 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (00444521)
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Keywords | 核内タンパク質 / 自然免疫 / 自己免疫疾患 / T細胞分化 |
Research Abstract |
核内IkBタンパク質の一つであるIkBz欠損マウスを用いて、実験的アレルギー性脳脊椎炎(EAE)誘導実験を実施したところ、IkBz欠損マウスでは脊椎ミエリン鞘の脱髄が起きず、さらに炎症性リンパ球の浸潤もほとんど認められなかった。また、この結果が自然免疫担当細胞によるものなのか、獲得免疫系担当細胞によるものなのかを明らかにする目的で、IkBz欠損マウスに野生型マウス由来のT細胞を移入したマウスと野生型マウスにIkBz欠損T細胞を移入したマウスを用いて、EAE誘導実験を試みたところ、前者のマウスではEAEが惹起できたのに対し後者のマウスでは全くEAEが起きなかったことからIkBz欠損マウスにおいてはT細胞の機能異常によりEAEが惹起できていないことが示唆された。EAEの惹起に関与するT細胞はTh17であることが報告されている。従って、次にTh17の分化におけるIkBzの役割を解明するためにIkBz欠損マウスよりナイーブT細胞を採取し、in vitroにおいてTh17誘導条件にて培養したところTh17細胞の分化能がIkBz欠損T細胞では著しく低下していたことから、IkBzはTh17細胞分化に関与する分子であることが示唆された。また、逆にナイーブT細胞にIkBzを強制発現させTh17誘導条件で培養するとコントロール群に比べIL-17産生が亢進し、さらにIL-17産生に必須の転写因子であるRORγtとIkBzを共発現させるとIL-17の産生が増強されたことからRORγtと協調してIkBzはIL-17の転写に関与していることが示唆されたものの、両者の直接的結合は認められなかった。以上のことから、Th17誘導にIkBzが関与し、EAEの発症に重要な役割を果たしていることが証明された。
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Research Products
(5 results)