2009 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞におけるストア作動性カルシウム流入の生理的役割とその分子基盤の解明
Project/Area Number |
21790469
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 義裕 Osaka University, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (20415269)
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Keywords | STIM1 / STIM2 / B細胞 / ストア作動性カルシウム流入 |
Research Abstract |
細胞内カルシウムの上昇が様々な生理的現象に関与することが知られているが、そのカルシウムは主に主に二つの経路から供給されている。ひとつは小胞体からのカルシウムリリースであり、もう一つは細胞外からのカルシウム流入である。免疫細胞のような非興奮性細胞においては、カルシウム流入はストア作動性カルシウム流入によるとされる。B細胞におけるカルシウムシグナルは、細胞増殖、活性化、分化などに関与することが示唆されていたが、小胞体からのカルシウムリリースとストア作動性カルシウム流入の機能的差異は不明であった。 これまでに、小胞体カルシウムセンサーSTIM1、STIM2が小胞体カルシウムの枯渇により活性化し、Oraiカルシウムチャネルを開口させることにより、ストア作動性カルシウム流入を誘導することが知られています。そこで、B細胞におけるストア作動性カルシウム流入の生理的意義の解明を目的として、STIM1,STIM2のB細胞特異的ノックアウトマウスを作製、解析を行なった。まず、STIM依存的なカルシウム流入はB細胞分化に関与しないことが判明した。さらに、B細胞におけるストア作動性カルシウム流入がIL-10産生を介する抑制的機能に必須であることを発見した。これらは、カルシウムシグナルが機能の使い分けをしていることを示唆しており、B細胞においてるストア作動性カルシウム流入はサイトカイン産生を通じて、抑制的機能を発揮するために必要なシグナルであるという新しいコンセプトが想定される。さらに、B細胞のストア作動性カルシウム流入が自己免疫疾患の重症度に関与することを示唆する初めての知見でもある。最近、ヒトSTIM1の変異により、自己免疫疾患を伴った重症複合免疫不全症が引き起こされることが報告され、臨床的にもカルシウム流入システムの重要性が示されている。
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Research Products
(6 results)