2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790472
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新田 剛 The University of Tokushima, 疾患ゲノム研究センター, 学術研究員 (30373343)
|
Keywords | 胸腺 / T細胞 / 髄質上皮細胞 / RANKL / 自己免疫 |
Research Abstract |
本研究では、胸腺髄質に再移入したT細胞が、胸腺髄質微小環境において「再教育」をうける可能性を検証し、そのメカニズムと生理的意義を明らかにするとともに自己免疫疾患に対する根本的治療法の開発に資することを目的とする。まず、分化途上の胸腺T細胞のケモカイン依存的髄質移動が、組織特異的抗原に対する負の選択に必須であることを見出した。従って、胸腺髄質微小環境は髄質外から移入してきたT細胞に対して負の選択を誘導し、自己寛容の確立に寄与しうること示唆された。そこで、末梢T細胞の胸腺移入を評価するモデル動物として、可溶型RANKLを発現するsRANKL-TgマウスとTCRa-KOマウスを交配し、sRANKL-Tg/TCRα-KOを作製した。このマウスの胸腺には成熟T細胞が存在しない「空」の髄質が形成される。マウス末梢T細胞をsRANKL-Tg/TCRα-KOマウスに移植すると、移植後2~4週間で、正常マウスと比べてきわめて高い頻度で末梢T細胞の胸腺移入が検出された。胸腺に移入したT細胞のほとんどはCD44とCD69を高発現する活性化型T細胞であり、髄質領域に局在していた。また、胸腺移入T細胞の一部は制御性T細胞の機能分子であるFoxp3を発現することがわかった。現在、Foxp3陽性細胞の由来(胸腺内で分化したものか、あるいは末梢で分化した後移入したものか)について検証を行っている。また、胸腺に再移入した自己反応性T細胞が負の選択によって排除される可能性について、モデル抗原を胸腺髄質上皮細胞に発現するマウスおよびその抗原に反応性をもつTCR-Tgマウスを用いて解析を進めている。
|