2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790472
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新田 剛 徳島大学, 疾患ゲノム研究センター, 講師 (30373343)
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Keywords | 胸腺 / T細胞 / 髄質上皮細胞 / RANKL / 自己免疫 |
Research Abstract |
本研究では、胸腺髄質微小環境の機能に着目し、末梢T細胞が胸腺髄質に再移入することで「再教育」をうける可能性を検証することを目的とする。まず、髄質微小環境の形成機構の解明に取り組み、髄質上皮細胞の最終分化を制御するリンホトキシンシグナル、および樹状細胞の髄質局在を制御するケモカインXCL1を同定した。さらに、末梢T細胞の胸腺移入を評価するモデル動物として、可溶型RANKLを発現するsRANKL-Tgマウスを用いた。このマウスではsRANKLの作用によりAire陽性髄質上皮細胞の増加と髄質の拡大がみられ、髄質に局在する樹状細胞も増加した。また、成熟T細胞が存在しない「空」の髄質をもつsRANKL-Tg/TCRα-KOマウスを作製したところ、正常マウスと比して高い頻度で末梢T細胞の胸腺髄質への移入が観察された。加えて、上記の実験の過程で、T細胞とB細胞を欠損するRag2-KOマウスに正常マウス由来の末梢T細胞を移植すると、きわめて高い頻度で胸腺移入がみられることを発見した。この高頻度のT細胞胸腺移入は、T細胞のみを欠損するTCRβ/TCRδ-KOマウスでは検出されないことから、B細胞の分化と関連することが示唆された。いずれの場合にも、胸腺移入したT細胞のほとんどは活性化マーカーであるCD44、CD25、CD69を高発現し、一部はFoxp3を発現していた。従って、胸腺移入T細胞は、末梢自己抗原に反応した自己反応性T細胞か、あるいは体内の常在細菌叢等に反応したT細胞と考えられた。以上の結果より、末梢から胸腺に移入したT細胞は、活性化型のT細胞であり、Foxp3陽性の制御性T細胞を含むことが示された。また、上記モデルマウスはこの現象の機序と生理的意義の解明に有用であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)