2009 Fiscal Year Annual Research Report
Helicobacter pylori胃炎発症の制御に関わるヘルパーT細胞の役割
Project/Area Number |
21790476
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 重徳 Keio University, 医学部, 助教 (50348801)
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Keywords | ヘルパーT細胞 / Helicobacter pylori |
Research Abstract |
我々はマウスへの感染実験から、Helicobacter pylori感染による胃炎発症において、H.pylori航原特異的ヘルパーT(CD4^+T)細胞が胃炎発症に必須であることを見出した。そこで炎症の場である胃粘膜固有層に浸潤するCD4^+T細胞の役割について、浸潤細胞の割合やサイトカイン産生の違いによって、炎症がどのように制御されるかを検討することを目的とした。 そこでまず、CD4^+T細胞から産生され、炎症反応に重要とされるIFNγ及び(特に好中球浸潤を引き起こすとされる)IL-17Aの役割を解析した。T及びB細胞を欠損するRag2KOマウスにH.pylori SS1株を感染させても、菌は胃粘膜に定着するものの好中球浸潤などの胃炎は全く起きないが、この感染の成立したマウスにCD4^+T細胞を後から移入すると、好中球浸潤を伴う胃炎を発症することを我々は見出した。そこでこの系を用いて、IFNγKOやIL-17AKOマウスからCD4^+T細胞を単離し、H.pylori感染Rag2KOマウスに移入して2~3ヶ月後に解剖し、病理学的検討を加えた。するとIFNγKO CD4^+T細胞を移植した場合には胃炎を全く発症しなかったが、IL-17A KO CD4^+T細胞を移植した場合には、好中球浸潤を伴う胃炎を発症した。このことから、ヘルパーT細胞由来のIL-17Aは胃炎発症には必ずしも必要でなく、むしろIFNγが必要であることが示された。
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