2010 Fiscal Year Annual Research Report
Helicobacter pylori胃炎発症の制御に関わるヘルパーT細胞の役割
Project/Area Number |
21790476
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 重徳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50348801)
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Keywords | Helicobacter pylori / ヘルパーT細胞 / ケモカイン |
Research Abstract |
申請者は、H.pylori感染による胃炎発症時に胃粘膜固有層に浸潤するヘルパーT細胞が胃炎発症に必須であることを示してきたが、これらの細胞がどのように炎症を制御しているかについては、まだ不明な点が多い。炎症細胞が炎症部位へ浸潤するには遊走因子であるケモカインの関与が考えられる。そこで本年度は、それらが産生するIFNγあるいはIL-17Aが、ヘルパーT細胞自身あるいは胃上皮細胞からのケモカイン産生に及ぼす影響を調べることによって、浸潤ヘルパーT細胞がどのように胃炎発症を制御しているかについて検討を加えた。 Th1細胞はIFNγを、Th17細胞はIL-17を主に産生するが、これらの細胞のケモカイン受容体はそれぞれCXCR3あるいはCCR6である。そこでそれぞれのリガンドであるCXCL10あるいはCCL20が、Th1あるいはTh17細胞から産生されうるかを検討した。するとCXCL10はどちらの細胞からも産生されなかったが、CCL20はTh17細胞からのみ産生された。すなわちTh17細胞は自ら産生するCCL20によって更にTh17細胞を遊走させることが示唆された。また、胃上皮細胞が炎症時に様々なサイトカインやケモカインを産生することが知られているため、ヘルパーT細胞由来IFNγあるいはIL-17によって、胃上皮細胞からのCXCL10あるいはCCL20発現が誘導されるかについて検討した。するとどちらの場合も濃度依存的にケモカイン発現が上昇したことから、Th1あるいはTh17細胞は上皮細胞を介して間接的に自身を遊走することが示唆された。
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