2010 Fiscal Year Annual Research Report
パイエル板におけるM細胞を介した抗原取り込みと受け渡し機構の可視化と解析
Project/Area Number |
21790487
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 俊介 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (40444525)
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Keywords | パイエル板 / M細胞 / CCR1 / CCL9 / 形質細胞 |
Research Abstract |
小腸パイエル板M細胞と免疫細胞との相互作用機構を解析することを目的とし、昨年度開発した検出方法を用いて、引き続き、CCL9受容体を発現する細胞の解析をマウスパイエル板にて行った。免疫組織化学染色による解析では、CCL9の受容体であるCCR1のシグナルはパイエル板上皮下に多く確認できた。我々が開発した上皮シート染色法を用いたところ、一部のCCR1陽性細胞は上皮間に入り込み、M細胞と密に接していることが明らかになった。フローサイトメトリーを用いた解析によって、パイエル板におけるCCR1陽性細胞はCD138,Blimp1、陽性の形質細胞であることを明らかにすることができた。この形質細胞は細胞表面と細胞内に免疫グロブリンAを持ち、未熟な形質細胞であった。腸管管腔内にはIgAが大量に存在し生体防御を担う。パイエル板はIgA産生を行う形質細胞の成熟に重要な器官である。濾胞領域でB細胞の体細胞超変異、クラススイッチ、増殖が起きて細胞表面にIgAを発現したIgA前駆B細胞となる。その後IgA前駆細胞は実効組織である粘膜固有層へ移動する。最終的な形質細胞への成熟は粘膜固有層でおこるとの考えが一般的であるが、形質細胞に傾倒したIgA前駆B細胞が、粘膜固有層へとどういう経路で移動し、形質細胞へと成熟するかは明らかになっていない。本研究成果は、形質細胞の成熟にM細胞が関与していることが示唆され、腸管免疫におけるM細胞の新たな役割の解明につながるものである。
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Research Products
(2 results)