2009 Fiscal Year Annual Research Report
TSLPの過剰産生によって誘導される自己免疫疾患の発症機構の解析
Project/Area Number |
21790488
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
井関 將典 Research Institute, International Medical Center of Japan, 地域保健医療研究部・地域医療研究室, 室長 (30532353)
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Keywords | 免疫学 / アレルギー・ぜんそく / 自己免疫疾患 / サイトカイン / マウスモデル |
Research Abstract |
サイトカインTSLPは生体内でTh2分化を促進し、様々な免疫疾患を引き起こすことが考えられるが詳細な機構は未だ明らかではない。本研究では樹状細胞、B細胞、CD4陽性T細胞といった細胞群がどのように相互作用することで免疫寛容の破綻やその他の疾患に繋がっているかを明らかにすることを目的とし、TSLP過剰発現マウス及びその他の遺伝子改変マウスを用いて病理学的、免疫学的解析を行う。TSLP過剰発現Tgマウスの当研究所動物施設への搬入とクリーニングに時間がかかっているため、プラスミドDNAを用いた簡便なTSLPの過剰発現法の樹立を試みた。PCR法によってマウスTSLPのcDNAをプラスミドベクターpLIVEにクローニングした。このpLIVE-mTSLPおよびコントロールベクターをTransIT Hydrodynamic Delivery Solutionと混合し、野生型マウスの尾静脈より5秒以内に投与した。その後末梢血中のリンパ球をフローサイトメトリーによって解析した結果、pLIVE-mTSLPを投与したマウスでは未熟B細胞の増加が観察され、TSLPが発現していることが示唆された。また投与マウスの各組織を解析したところ、骨髄、脾臓、腹腔においてTgマウスとほぼ等しい表現型が観察された。またこのマウスの脾臓CD4陽性T細胞ではIL-4産生細胞が増加しており、血清中のIgEも高い値を示したことからTh2分化が促進されていることが示唆された。更にコントロールと比べて血中の抗核抗体、抗二重鎖DNA抗体も増加しており、自己免疫疾患の症状を呈することが分かった。以上よりこのプラスミドDNAを用いたTSLP過剰発現法は簡便かつ有効な方法であるといえる。今後はこの方法も併用し、TSLPの生体内での機能解析を進めて行く予定である。
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Research Products
(2 results)