2010 Fiscal Year Annual Research Report
TSLPの過剰産生によって誘導される自己免疫疾患の発症機構の解析
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21790488
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
井関 將典 独立行政法人国立国際医療研究センター, 免疫制御研究部免疫応答修飾研究室, 室長 (30532353)
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Keywords | 免疫学 / アレルギー・ぜんそく / 自己免疫疾患 / サイトカイン / マウスモデル |
Research Abstract |
サイトカインTSLPは生体内でTh2分化を促進し、様々な免疫疾患を引き起こすことが考えられるが詳細な機構は未だ明らかではない。本研究では様々な免疫細胞群がどのように相互作用することで免疫寛容の破綻やその他の疾患に繋がっているかを明らかにすることを目的とし、TSLP過剰発現マウス及びその他の遺伝子改変マウスを用いた解析を行っている。TSLP過剰発現Tgマウスの当研究所動物施設への搬入は終了したが、交配能力に問題が見られたため野生型BALB/cマウスを用いた戻し交配を行って改善を試みている。そこで前年度に樹立したプラスミドDNA用いた簡便なTSLPの過剰発現法を用いてBALB/cマウス、C57BL/6マウスにTSLPの発現を誘導し、遺伝的背景の異なるマウスにおけるTSLPの過剰発現の役割について検討した。プラスミドベクターpLIVE-mTSLPおよびコントロールベクターを野生型BALB/cマウス、C57BL/6マウスの尾静脈より投与し、TSLPの過剰発現を誘導した。いずれのマウスにおいても投与したDNAの量依存的な未熟B細胞の増加が観察され、この作用は遺伝背景に依存しないことが再確認できた。投与後4週間後の血清を採取し冷蔵するとC57BL/6から採取した血清中には白色沈殿が観察でき、クリオグロブリン血症を呈していることが示唆されたが、BALB/cマウスの血清には沈殿が観察できなかった。また100μgのDNAを投与したBALB/cマウスは踵関節が肥大し、関節炎を発症していることが示唆されたが、同じ処理をしたC57BL/6マウスにはこの症状は見られなかった。以上より、TSLPの過剰発現は遺伝背景によって異なる自己免疫疾患を誘導することが推察された。今後はDNA投与マウスの詳細な病態解析を進め、Tgマウスを用いた実験と併用しTSLPの機能解析を進めていく。
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