2011 Fiscal Year Annual Research Report
TSLPの過剰産生によって誘導される自己免疫疾患の発症機構の解析
Project/Area Number |
21790488
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
井関 將典 独立行政法人国立国際医療研究センター, 免疫制御研究部・免疫応答修飾研究室, 室長 (30532353)
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Keywords | 免疫学 / アレルギー・ぜんそく / 自己免疫疾患 / サイトカイン / マウスモデル |
Research Abstract |
サイトカインTSLPは生体内で2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)分化を促進し様々な免疫疾患を引き起こすことが分かっているが、詳細な機構は未だ明らかではない。我々はこれまでにTSLPの過剰発現がTh2細胞由来のIL-4依存的に抗原非特異的なB細胞の活性化を誘導し、自己免疫疾患を引き起こすことを明らかにしてきたが、このモデルにおけるTSLPの標的細胞は不明であった。生体内でTSLPがどの細胞を刺激することが疾患へと繋がるのかを明らかにするため、昨年度までに開発したプラスミドDNAによるTSLPの過剰発現系を用いて以下の実験を行った。 野生型およびTSLP受容体(TSLPR)遺伝子欠損マウスからCD4陽性T細胞を採取し、T細胞欠損マウスであるヌードマウスに移植し、その後にTSLPをコードするプラスミドDNAを尾静脈から注射してTSLPの過剰発現を誘導した。4週間後にフローサイトメトリーによりB細胞の活性化、移植したT細胞のサイトカイン産生について調べたところ、TSLPR欠損マウス由来CD4陽性T細胞を移植したヌードマウスでは野生型を移植したものに比較してB細胞の活性化が見られず、更にIL-4、IL-5産生CD4陽性T細胞が大幅に減少していた。従って、TSLPがCD4陽性T細胞を直接刺激することがIL-4、IL-5を産生するTh2細胞への分化、またそれに続くB細胞の活性化に必須であることを明らかにした。 TSLPがアレルギー性疾患を引き起こす際の標的細胞については当初は樹状細胞と考えられていたが、その後CD4、CD8陽性T細胞、肥満細胞、好塩基球等が標的として報告されてきた。本研究によってアレルギーおよび自己免疫疾患に通じる生体内でのTSLPの標的細胞はCD4陽性T細胞である、という新たな機構が明らかとなり、今後のTSLPを標的とした免疫疾患の治療法開発に役立つこと示期待できる。
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Research Products
(5 results)