2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン制御シグナルDNA経口ワクチンによる炎症性腸疾患の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21790489
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
辻村 祐佑 独立行政法人 医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 研究員 (30512404)
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Keywords | 経口ワクチン / 炎症性腸疾患 / 粘膜免疫 / ウィルス様中空粒子 / DNAワクチン / SOCS分子 |
Research Abstract |
花粉症やアトピー性皮膚炎といった免疫アレルギー疾患か流行している昨今、新たな予防法、治療法の開発が急務となっている。そこで本研究では、免疫疾患に直結する免疫応答異常の制御に重要な役割を果たす分子;Suppressor of Cytokine Signaling : SOCSをDNAワクチンとして応用し、免疫学的恒常性の異常によって誘導されるヒト炎症性腸疾患のマウスモデルを用いて新規免疫療法の可能性を検討した。また経口投与によるより簡便なワクチン接種法の開発を目的に、申請者ら独自の技術であるE型肝炎ウィルス(HEV)のウィルス中空粒子(VLP)を用いた新たなデリバリーツールの可能性も検討した。 その結果SOCS-DNAワクチンの炎症性腸疾患に対する治療効果が確認され、さらに投与方法としてはDNAワクチンを腹腔内に全身投与するよりも、VLPに封入して経口投与した方が効率よく高い治療効果が得られる可能性を確認した。またVLPの生体内での動態を検討するため、VLPにGFP発現DNAを封入し、経日的に組織を回収、解析を行った結果、腸管上皮および腸管膜リンパ節においてGFPの発現が確認され、VLPが腸管粘膜へのデリバリーツールとして機能することも確認された。感染症やアレルギー疾患等、病気の発症は必ず粘膜から始まっており、粘膜面に有効にワクチン抗原を運ぶことができればツールの開発は大変効率的な治療や予防の方法に繋がると考えられる。これは粘膜免疫の特徴である、一部の粘膜で誘導された免疫反応は同時に他臓器の粘膜面でも誘導できる考え方を応用し、現在はインフルエンザや喘息といった呼吸器粘膜上で起こる疾患の治療の可能性をVLPを用いて検討しており、新たな治療法の開発に貢献できると考えている。
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Research Products
(4 results)