2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域保健医療福祉計画の策定・評価における地理情報システムの応用に関する研究
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21790491
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Research Institution | Hokkaido Information University |
Principal Investigator |
大場 久照 北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (50419222)
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Keywords | 医療・福祉 / 地理情報システム(GIS) / 医療計画 / 地域連携 / 地域偏在 / 電子カルテシステム / 遠隔医療 / IT政策 |
Research Abstract |
1.電子カルテシステムの導入状況 地域医療連携構築のための基盤となる全国の電子カルテシステムの導入状況を把握するために、二次医療圏単位で分析し、国のIT政策の達成度と地域間の差を検証した。厚生労働省の医療施設調査(02年、05年、08年)を用いて病院数・診療所数、電子カルテシステムの導入病院数・診療所数を抽出し、電子カルテシステムの導入率を算出した。病院での導入率は、2002年・1.2%、2005年・6.9%、2008年・13.2%であり、診療所では2002年・25%、2005年・7.6%、2008年・14.7%であった。2008年での病床数別導入状況は、400床以上の導入率は35.3%に対して、200床以上400床未満の導入率は18.3%、200床未満では8.5%と導入率格差がみられた。病院において一施設も電子カルテシステムが導入されていない二次医療圏は2008年では66圏域あり,特に400床以上の病院が存在しない二次医療圏を多数有する北海道、秋田県、岩手県で未導入が顕著であった。国のIT政策による電子カルテシステムの導入目標は達成されておらず、地域格差や病院間格差が拡大していることが明らかとなった。 2.遠隔医療の研究動向 医師不足解消等の一つの手段として推進されている遠隔医療の研究動向を把握するために、医学中央雑誌Web版を用いた文献調査によって検証した。対象時期は2000~2009年、検索キーワードは遠隔医療、対象記事は原著論文として検索した。検索結果を遠隔病理診断、遠隔放射線診断、在宅健康支援に分類し、さらに(1)技術評価、(2)経済評価、(3)利用調査、(4)有効性の検証、(5)システム構築に細分化した。また、都道府県別集計も行った。対象文献数454件のうち、2007年の論文数が70件で最も多く、大分類では在宅32%、放射線21%、病理10%であった。小分類では技術評価(38%)と有効性の検証(34%)が多く占めたが、利用調査(10%)や経済評価(5%)の割合は少なかった。都道府県別では論文数が多い順に東京都、北海道、群馬県であった。わが国の遠隔医療の研究は技術的評価への偏りがみられ、今後の遠隔医療普及には遠隔医療の必要性を把握するためのニーズ調査や経済評価に関する研究推進が求められる。
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Research Products
(5 results)