2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオエシックスの動態把握のための計量書誌手法の導入に関する研究
Project/Area Number |
21790493
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 悠輔 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (30378658)
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Keywords | 解析・評価 / 政策研究 / バイオエシックス |
Research Abstract |
バイオエシックスの検討において、従来は直感的に把握していた日本の特性および問題点について、計量書誌的手法の導入により客観的な把握ができ、かつ次段階として国家間の比較により日本の特性を明確に把握することが可能となる。本研究の独創性は、生命・医療倫理の動態把握に計量書誌手法を導入することである。生命・医療の倫理的検討がこれまで、従来の医療・医学における専門家界と社会との関係やこれらの領域におけるルール設計を主テーマとしてきた以上、ここでどのような議論が行われてきたかを他国との比較の中で把握することは極めて重要な作業であり、これを客観的な実証分析をすることは、政策形成への貢献からも、有効な成果を生むはずである。しかし、日本ではこの観点から取り組んでいる研究者がいない。この領域の動向を客観的データと共に世界に発信すること、および国際的な実証研究の流れの中でその一角を担う位置を占めること、その一方で日本の議論の問題や特性を把握し、日本の今後の政策論議に貢献することが本研究の第一の独創性である。本研究では書誌情報、特に(1)生命・医療における倫理問題に関する関連学会の学術書誌情報、(2)政府の生命倫理関係委員会の政策文書資料を計量書誌手法により解析し、過去の問題設定およびこれに関連する諸ファクターの変動をマッピング化することによって、我が国の生命・倫理問題の動態を実証的かつ批判的に分析し、議論設定の特性および課題を把握することを、作業の目的とする。今年度は、研究計画に沿って、資料の収集と整理を作業の中心として行った。国内外の主要な国家生命倫理委員会の報告書や議事録の収集を行うと共に、データベースの構築や年表整理の作業を行った。この過程で、幹細胞研究や臓器移植など、現在における生命・医療倫理の主要な検討課題についての予備的調査を行い、海外誌や国内の雑誌において発表した。
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Research Products
(6 results)