2009 Fiscal Year Annual Research Report
項目反応理論を用いた健康効用値尺度の測定特性に関する研究
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21790509
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
泉 良太 Niigata University of Health and Welfare, 医療技術学部, 助教 (80436980)
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Keywords | 健康効用値 / 項目反応理論 |
Research Abstract |
対象は120名(女性66名)であり、脳疾患が72名(女性29名)、大腿骨近位部骨折が48名(女性37名)であった。平均年齢(標準偏差)はそれぞれ74.3(13.5)歳、69.7(14.7)歳、81.2(7.0)歳であった。初期評価から再評価までの期間(標準偏差)は33.5(23.9)日、35.8(26.2)日、30.0(19.8)日であった。リハビリテーション前後での効用値の変化は、EuroQol 5-Dimension(EQ-5D)では、全体で0.30(0.30)から0.48(0.31)、脳疾患で0.34(0.30)から0.49(0.34)、大腿骨近位部骨折で0.23(0.29)から0.47(0.28)、Health Utilities Index Mark 3(HUI3)の全領域のglobal scoreでは、全体で0.00(0.28)から0.16(0.37)、脳疾患で0,02(0.31)から0.19(0.40)、大腿骨近位部骨折で-0.03(0.23)から0.12(0.33)へ有意に向上した(p<001)。各領域でのsingle scoreは裡力、聴力ではリハビリテーション前後で変化はなく、大腿骨近位部骨折においてはそれらに加えて器用さでも変化を認めなかった。次に脳疾患と大腿骨近位部骨折の効用値の比較では、EQ-5Dにおいてリハビリテーション前には差を認めたが(034 vs 0.23)、リハビリテーション後には差を認めなかった(0.49 vs 0.47)。HUI3においては、global scoreでは疾患による差を認めなかったが(前0.02 vs -0.03、後0.19 vs 0.12)、single scoreでは脳疾患において会話(前0.60 vs 0.82、後0,69 vs 0.87)、器用さ(前0.56 vs 0.87、後0.65 vs 0.91)で大腿骨近位部骨折よりも低い値を示し、歩行(前0.29 vs 0.13、後0.44 vs 0.29)、疼痛(前0.75 vs 0.52)では大腿骨近位部骨折が脳疾患に比べ有意に低い値を示した。 本研究により、リハビリテーションにより健康関連QOLが向上することが示された、さらにHUI3においてはsingle scoreに示されるように、リハビリテーション前後では変化を示さない領域もあることが分かった.また、脳疾患と大腿骨近位部骨折でのsingle scoreの差異が認められ、global scoreだけでは表せない値を示すことが可能であった。よって、EQ-5DやHUI3のglobal scoreだけではなく、HUI3のsingle scoreを評価することにより、対象者のより詳細な健康関連QOLを表せることが分かった。
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