2010 Fiscal Year Annual Research Report
胃がんにおけるPI3K経路活性化機構の解明とキナーゼ阻害薬の個別化治療への応用
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21790522
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
向原 徹 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80435718)
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Keywords | シグナル伝達 / 個別化治療 / 胃がん / PI3K |
Research Abstract |
我々は、新規多標的キナーゼ阻害薬(MET, RON, AXL, VEGFRsを標的)であるforetinib (GSK1363089)の作用機序を胃癌の細胞株パネル(n=12)を用いて解析した。胃癌細胞株の内、高い感受性を示したのはKATO-III(FGFR2増幅)とMKN-45(MET増幅)の2種類のみであった。予想された如く、MKN-45ではforetinib (1μM)と選択的MET阻害薬であるPHA665752(1μM)のいずれもが強い細胞増殖抑制とPI3K経路の抑制を導いた。一方、KATO-IIIではPHA665752はMETのリン酸化抑制は導くものの下流のシグナルおよび細胞増殖は抑制しなかった。一方、KATO-IIIにおいては、foretinib(1μM)と選択的FGFR阻害薬であるPHA665752(1μM)がFGFR2のリン酸化と下流シグナルおよび細胞増殖を強く抑制することが分かった。ForetinibのFGFR2に対する作用はこれまで報告がなかったが、我々は別のFGFR2遺伝子増幅胃癌細胞株であるOCUM-2Mでそれを確かめた。phospho-receptor tyrosine kinase arrayでは、MKN45において、foretinibがMETを介してEGFR、HER3、FGFR3のリン酸化を、KATO-IIIにおいてはFGFR2を介して、EGFR、HER3、METのリン酸化を抑制することが示唆された。MKN-45におけるHER3とFGFR3の細胞内シグナルおよび細胞増殖における役割を探索するため、これらをsiRNAを用いてknockdownしたところ、PI3K経路および細胞増殖が抑制された。結論として、foretinibはMETのみならずFGFR2の遺伝子増幅をもつ細胞に高い抗腫瘍効果を示すことが分かった。また少なくとも一部の胃癌細胞では、遺伝子増幅受容体を核とした受容体間ネットワークが存在し、効率的なPI3Kシグナルおよび細胞増殖に関わっていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)