2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能未知輸送体群の抗癌剤輸送への関与を中心とした機能解析
Project/Area Number |
21790530
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Research Institution | 新潟県立大学 |
Principal Investigator |
神山 伸 新潟県立大学, 人間生活学部, 助教 (70525401)
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Keywords | 遺伝子クローニング / 大腸癌 / 輸送体 / SLC35 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
23年度では、取得した輸送体候補遺伝子の機能解析を行うとともに、これらの輸送体の機能が生体にとってどのような重要性をもつかを明らかにすることを目的として行った。 1.癌細胞の薬剤耐性獲得に関与するかどうかを明らかにする SLC35Fグループのメンバーに関して、RNA干渉(RNAi)を用いた遺伝子発現抑制による機能解析を行ったが、メンバーのいくつかが癌細胞の増殖に影響している可能性はみられたものの、核酸型抗癌剤の輸送に関しては明確な関与を示すことができなかった。従って、癌細胞の抗癌剤耐性獲得にこれらの輸送体は大きな役割を果たしてはいないことが示唆された。 2.輸送体機能の生体における重要性を明らかにする 大腸癌に関して、SLC35Fグループの発現状態は大きな影響をもたないことが推察されたが、取得した遺伝子の一つであるSLC35F6に関しては、ミトコンドリアで膜透過性を調節しているadenine nucleotide translocase2(ANT2)と相互作用することにより、膵臓癌細胞のアポトーシスと関連していることが別のグループによって報告された。また、SLG35Bグループのメンバーに含まれる活性型硫酸(PAPS)輸送体に関しては、その発現が大腸癌の進展に重要な役割を果たしていることを報告した。PAPS輸送体の発現のみならず、硫酸化の抑制によって、大腸癌細胞における細胞増殖と線維芽細胞増殖因子シグナルの低下がみられることを明らかにした。 これらの研究成果から、SLC35Fグループの遺伝子群は核酸型抗癌剤の輸送に関しては機能しないものの、癌細胞の増殖には影響を持つことが明らかにされた。
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