2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌治療の個別化におけるがん幹細胞の同定の有用性に関する研究
Project/Area Number |
21790536
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
枝園 忠彦 Okayama University, 病院, 助教 (30509451)
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Keywords | がん幹細胞 / 乳癌 / 予後因子 |
Research Abstract |
1. 乳癌原発巣と転移リンパ節におけるがん幹細胞の同定とその頻度の検討 結果)初期治療として乳房手術および腋窩リンパ節郭清術を行った症例におけるALDH陽性がん幹細胞の出現頻度は、0%、1~5%、5~10%、10~50%、50%以上に分類すると原発巣でそれぞれ63%、6%、9%、9%、13%、リンパ節転移巣でそれぞれ58%、6%、6%、24%、6%だった。また両者の出現に有意な相関は認めなかった。この結果によりがん幹細胞の出現は乳癌原発巣において約40%、転移リンパ節においても同様に40%程度であることが明らかとなった。また、転移リンパ節におけるがん幹細胞の出現を原発巣からは予測できない可能性が示唆された。 2. 乳癌原発巣および転移リンパ節におけるALDH陽性がん幹細胞の出現の予後の相関に関する検討 結果)手術後乳癌33例における検討ではALDH陽性細胞出現頻度1%以上をすべて出現陽性と判定した場合、原発巣におけるがん幹細胞の出現と無病生存期間との間に有意な相関は認めなかった。しかし、転移リンパ節においてはがん幹細胞出現陽性の症例において多く再発する傾向を認めた。この結果によりがん幹細胞の出現は原発巣よりもリンパ節転移において評価する方が、有用な予後の指標となりうることが示唆された。 3. ALDH陽性がん幹細胞の出現と臨床病理学的因子との相関に関する検討 結果)原発巣におけるがん幹細胞の出現の程度は、有意差は認めなかったものの腫瘍径が大きいほど多く、エストロゲンレセプター陽性乳癌の方が多い傾向にあった。それに対して、リンパ節転移におけるがん幹細胞の出現の程度は、原発巣腫瘍径とは無関係でありまたエストロゲンレセプター陰性乳癌の方が有意に多かった。この結果からも、原発巣からリンパ節転移におけるがん幹細胞の出現を予測することは困難であり、リンパ節において評価することが有用である可能性が示唆された。
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