2009 Fiscal Year Annual Research Report
オートスキャン式蛍光顕微鏡を用いた大腸がん自動細胞診実用化研究
Project/Area Number |
21790547
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
古賀 宣勝 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん治療開発部, 研究員 (70536086)
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Keywords | 大腸がん / オートスキャン式蛍光顕微鏡 / がん検診 / 早期診断 / 自動細胞診 |
Research Abstract |
本研究では細胞1個レベルでの診断法として、がん特異抗体による蛍光免疫染色と、核の性状や細胞質の蛍光強度などのデータを自動で撮像、解析するオートスキャン式蛍光顕微鏡を併用することによる、自動細胞診の可能性を検討している。対象となる剥離細胞を便から分離するためには、イムノビーズが必要である。しかし、すでに作製したEpCAMに対するマウスモノクローナル抗体を結合した3.0μmから5.9μmの異なるサイズのイムノビーズは、がん特異抗体(マウス抗体)がビーズへ非特異的に結合することなどにより、自動細胞診には不向きであった。そこで、平成21年度は自動細胞診に影響を与えないビーズの開発・評価を中心に行った。細胞の回収に必要なビーズも観察時には不要である。そのため、はじめに一度細胞を回収し観察時には細胞を遊離できるリリース可能なビーズを検討することとした。培養細胞を用いてのシミュレーション研究では60%程度の細胞回収が可能であり、その後80%程度の細胞をリリース可能であった。しかし、大腸がん患者便を用いた検討では、ビーズをリリースする作業により回収した細胞が壊れてしまうことを明らかにした。そのため、細胞診に影響を与えない小さなナノサイズのビーズ(50nmや250nm)を検討した。しかし、小さすぎるビーズは細胞の回収自体が行えないことを明らかにした。市販されているDynabeadsでは自家蛍光が強く、蛍光免疫染色を用いた自動細胞診には不向きであった。最終的に3.0μmで抗体を直接結合したビーズが自家蛍光もなく有用であった。一方で、大腸がん特異抗体としてCD44v6抗体を検討したが、大腸がん組織の陽性率は66%で、正常大腸粘膜部の陽性率も18%であった。今後、更なるがん特異抗体の探索と細胞回収用ビーズに適したEpCAM抗体(ラット抗体)の作製を行い、3.0μmのビーズに直接結合させ、細胞回収率と自動細胞診への影響を検討する。
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