2010 Fiscal Year Annual Research Report
警察官のうつ病・自殺対策を目的としたストレスの生物学的評価法の確立
Project/Area Number |
21790557
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
福元 仁 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30511555)
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Keywords | 警察官 / 唾液コルチゾール / 唾液α-アミラーゼ / 慢性ストレス / ストレスコーピング / 東洋医学的手法 |
Research Abstract |
諸事情により警察からH22年度研究実施計画の延期の申し出があったが、平成23年3月に調査を実施することができた。対象者は男性警察官28名(平均年齢48.5歳)であった。内訳として、夜勤明けの者2名、そうでない者24名、不明2名であった。自己記入式アンケートで生活習慣を調査し、慢性ストレスの評価として職業性簡易ストレス調査票、SCL(ストレスチェックリスト)、STCL(ストレス耐性度チェックリスト)、VAS(視覚的アナログ尺度)を使用した。関西医療大学保健看護学部坂口俊二准教授を招聘し、ツボ押しと鍼灸による東洋医学的手法を利用したストレス対策講座の座学と実技指導を行った。慢性ストレス評価と、ストレス対策講座の効果判定のため、本調査の前後で唾液検体を採取し、唾液コルチゾールと唾液α-アミラーゼの測定を行った。 本研究から得られた結果と知見は以下の通りである。 (1)唾液ホルモンの基礎値を年齢別にみると、40代は50代と比較して、唾液コルチゾールは低値、逆に唾液アミラーゼは高値であった。 (2)唾液アミラーゼは数値のばらつきが大きく、慎重な外れ値の検討が必要であり、解釈が難しい結果となった。 (3)夜勤明けの者は、そうでない者と比べて、唾液コルチゾール、唾液アミラーゼともに低値であった(各4.1vs5.0,6.5vs11.3)。夜勤明けの者は、心身が完全に覚醒していない可能性が示唆された。 (4)全体の解析では、唾液コルチゾール(4.7vs2.6,P値0.000)、唾液α-アミラーゼ(10.6vs9.4,∫値0.482)、VAS(4.0vs2.0,P値<0.001)と、ストレス対策講座の前後で唾液コルチゾールとVASで有意な数値低下を認めた。そのため、今回のストレス対策講座では、心身とも有効なストレス軽減効果が得られることが確認できた。
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