2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンのコミュニティにおける小児肺炎に関する受療行動研究
Project/Area Number |
21790570
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉記 雷太 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (40507919)
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Keywords | 受療行動 / フィリピン / 発展途上国 / 新型インフルエンザ / 小児肺炎 / コミュニティ |
Research Abstract |
先行研究であるフィリピン・レイテ島における小児肺炎の病院ベース病因疫学研究を受けて、フィリピンのコミュニティにおいて実際にどれだけの肺炎の小児患者が正しく医療機関を受診しているか、受療行動を分析し、病院ベースのサーベイランスや病因分析だけでは見えない小児肺炎の地域レベルにおける現状を解析することを目的として研究が実施されている。該当年度(平成21年度)の4月に新型インフルエンザ(H1N1)が発生したため、受療行動に関する地域住民の意識や行動に影響があることが予想され、それを受けて地域住民の新型インフルエンザに関する知識・意識・行動を調査項目に追加し調査を実施した。調査の前段階として、調査地域における新型インフルエンザ感染患者確認のためのラボ実験を施行した。調査においては、現地保健省の協力の下、レイテ島・ビリラン島全域を母集団に取り、無作為抽出された1798世帯で戸別訪問調査が行われた。その際、GPSを用いて各世帯の位置情報が取得され、地理的要因に関する分析に利用される。取得されたデータを解析し、正しく受療行動する世帯割合と同地域で進行中である病院受診者を対象とした小児肺炎病因研究から導かれる重症肺炎および急性呼吸器感染症数を比較することで、小児肺炎に対する病院ベースの全数報告サーベイランスの評価を陽性的中率や感度および適時性などを明示することが可能となる。また、結果を一般化することでH1N1あるいはH5N1などを起因とした重症肺炎に対する病院ベースのサーベイランスによるアウトブレーク探知の能力向上に資する基礎データとなる。また、新型インフルエンザ発生状況下での受療行動およびその基礎となる住民の知識・意識・行動に関するデータは喫緊性のある地域での新型インフルエンザ対策の基礎データとなる。
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