2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790572
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 祥子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70451771)
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Keywords | 妊孕力 / 栄養状態 / プロゲステロン |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)軽度の低栄養状態が女性の妊孕力に及ぼす影響を、月経周期中のプロゲステロン濃度によって評価することと、2)血中プロゲステロン濃度の指標として唾液や尿中のプロゲステロン濃度を用いることの妥当性を検討することである。 18歳から33歳の女性58人(平均±SD24.0±4.4歳)を対象とし、身体計測と再生産歴に関する質問紙調査を実施したのち、毎週1回、連続4週間かけて血液、唾液、尿を採取した(N=58×4=232セット)。栄養状態の指標としてはBMIを用いた(-20低体重(N=10)、20-24.9標準体重(N=41)、25-過体重(N=7))。統計解析は、血液、唾液、尿中のプロゲステロン濃度について、各々独立したモデルを用いた。混合モデルを用い、プロゲステロン濃度を被説明変数、栄養状態を説明変数とし、年齢や月経周期などの共変量の影響を調整した上で解析を行った(N=232)。次に、卵胞初期(月経1-6日目)に限定し(N=45)、同様に重回帰分析を行った。 どちらの分析においても、栄養状態の違いによるプロゲステロン濃度の差異は観察されなかった。しかし予想に反して、ホルモン避妊薬の使用歴のある女性は、使用歴のない女性と比較して唾液中のプロゲステロン濃度が低い(重回帰分析p=0.003)という結果が得られた。一方で、血中と尿中のプロゲステロン濃度については、避妊薬使用の有無による差がなかった。よってホルモン避妊薬の使用を中止して数年が経過しても、体内のホルモン結合などに影響が残存する可能性を示していると推測された。この仮説を検証するためにはさらなる調査が必要である。 本研究の対象となった女性においては、栄養状態のちがいによるプロゲステロン濃度の差異は観察されなかった。また、唾液中のプロゲステロン濃度は必ずしも血中のプロゲステロン濃度を反映しない可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)