2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス・ベトナムにおける小児保健医療サービス利用支援環境要因の指標化
Project/Area Number |
21790573
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木津喜 雅 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80431964)
|
Keywords | 健康教育 / 人種と民族 / 母乳栄養 / 地方居住者 / 東南アジア / 保健医療サービス / 保健医療施設 / 人類学 |
Research Abstract |
ラオス人民民主共和国における、(1)生活衛生および保健医療サービス利用向上のための施策の効果を示し、(2)育児行動の関連要因を明らかにした。 1)ラオスには、固有の言語、文化、習慣を有する49の民族が居住している。健康・衛生教育の効果は、対象者のこれらの背景に依存しており、多言語に対応した指導者や教材が効果を高めることが知られている。一方、開発途上国において、住民による話し合いが高い教育効果を有する例が明らかとなっている。本プロジェクトでは、ラオス北部の1地域における、各民族の方言によるワークショップ活動の効果を評価した。推進役として、各村より標準語を理解できる有力者が選出され、短期間の講義・実習の後、彼らが現地の方言により村人会議と村人活動を指導した。その結果、人口当りのトイレの数が増加した。また、病院の利用者のうち、地方の村の出身者の割合が増加した。ワクチン摂取率は、子どもおよび成人女性の両方で増加した。以上より、多民族の居住地域において、各村の推進役によるワークショップ活動は生活衛生と医療へのアクセスを向上することが示された。 2)母乳育児は、母子保健向上に有効であるため、関連要因についての研究が行われている。我々は2000年のMultiple Indicator Cluster Surveyのデータを用い、ラオスにおける母乳育児率、地域による差異、完全母乳育児の中断理由を分析した。その結果、授乳開始時期は世界保健機関の推奨する生後30分以内に比較して7割の例で遅く、原因として母親教育の不徹底が考えられた。完全母乳率は、地方に比べ都市で、教育水準の低い母親の子どもより高い母親の子どもで低かった。これは、周辺諸国と同様の傾向で、仕事等で外出する時間が長く、育児に十分な時間をかけることができない母親が多いことが、ラオスにおける低い完全母乳育児率の原因であると考えられた。
|