2009 Fiscal Year Annual Research Report
医師の心理・精神状態や診療行動に与える要因についての探索的コホート研究
Project/Area Number |
21790580
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林野 泰明 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (70432383)
|
Keywords | 行動医学 / 医師の行動 / 組織の健康度 / 睡眠の質 / バーンアウト |
Research Abstract |
本研究の目的は、医師の心理や精神状態、さらにそれらを介して医療行動に影響する要因について幅広い側面から評価を行うことであり、本年度に実施した研究の成果は以下の通りである。 (1) 調査の遂行調査 平成21年度に職場環境や患者関係、医師のライフスタイルなど、医師の心理や精神状態に影響を及ぼす要因を測定するために、既に妥当性の検証されたツールを用いて調査票を作成した。 (1)組織の健康度:Quality Work Competence Survey (QWC)を用いる(Arnetz BB, et al. J Occup Environ Med. 1996; 38 (1): 53-65)。QWCは組織の健康度を測定するためのツールであり、職場の雰囲気、パフォーマンスのフィードバック、スキルの向上、目標の明確性など、14のサブドメインからなる。 (2)患者ハラスメント:英国保健サービスでは、「バイオレンス(暴力行為)」を、「業務に関連する状況下でのスタッフに対する嫌がらせ、脅迫、攻撃などのあらゆる出来事:スタッフの安全、幸せ、健康に対する直接・間接的な挑発」と定義し、暴力的攻撃(assaulted)、脅し・脅迫(threatened)、言葉による嫌がらせ(verbally abused)に分類している。本研究では、この分類に基づいて自己記入式の調査票を作成し、これを用いて調査日から過去半年間の患者ハラスメントについて調査を行う。 (3)睡眠の質:Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)を用いる(Buysse DJ, et al. Psychiatry Res. 1989; 28 (2): 193-213)。PSQIは米国のBuysseらが開発した睡眠に関する尺度であり、過去1ヶ月間における就寝時刻、起床時刻、入眠時間、睡眠時間の他に睡眠困難の理由、眠剤の使用、日中覚醒困難の主観的な評価に基づいて、睡眠の質を評価するためのツールである。 上記で作成した調査票を用いて、調査会社が所有する医師パネルを対象として、約1000名の医師を対象とした調査を施行した。
|