2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復酵素遺伝子多型と大腸発がんに関する分子疫学研究
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21790584
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
銀 光 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (90444786)
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Keywords | 大腸がん / DNA修復酵素遺伝子多型 / 分子疫学 / 症例対照研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大腸がんとDNA修復酵素遺伝子多型との関連を検討し、これらの遺伝子多型と環境要因との交互作用を解析することにより、DNA修復機構の大腸発がんへの影響を明らかにすることである。2001年10月から2003年12月の期間に、福岡市と近郊3地域の住民を対象に、手術目的で福岡市の8つの病院に入院された年齢20-74歳の大腸がん患者を症例群対象とした。対照群は、大腸がんあるいは大腸切除術の既往のない20-74歳の上述地域の一般住民である。生活習慣要因の調査及び遺伝子解析の同意が得られた症例685名と対照778名が今回の研究対象者である。PCR-RFLP法により遺伝子多型を決定した。一本鎖切断修復酵素XRCC1 (Arg194Trp、Arg280His及びArg399Gln)遺伝子多型と大腸がんリスクとの検討では、XRCC1 399Gln/Gln遺伝子多型が大腸がんリスク上昇との関連が見られ、この遺伝子型を持つ者が重度飲酒者であれば大腸がんリスクの高まりがより顕著であった。また、XRCC1 Arg280HisとArg399Gln遺伝子多型との交互作用が見られ、280Argアレルと399Glnアレルを同時にもつ者は大腸がんリスクのさらなる高まりと関連していた。一方、XRCC1 Arg194Trp遺伝子型と大腸がんリスクとの関連が見られなかったし、飲酒との交互作用もみられなかった。これらの遺伝子多型と喫煙との交互作用の解析では、いずれの多型も喫煙との交互作用がみられなかった。また、二本鎖切断修復酵素遺伝子多型であるXRCC3 Thr241Met及びXRCC4についても検討した。全体では、これらの遺伝子多型と大腸がんとの関連が見られなかったが、飲酒との交互作用の検討では、XRCC3 241Metアレルを持つ者が重度飲酒者であればより大腸がんリスクの上昇が見られた。同時に、XRCC4 GG遺伝子型を持つ者は重度飲酒であれば、大腸がんリスクの高まりはより顕著であった。以上の結果は、DNA修復酵素遺伝子多型が飲酒と関連して、大腸発がんに重要な役割をはたしていることを示唆するものである。
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Research Products
(1 results)