2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群に関連する血清vaspinの疫学的重要性
Project/Area Number |
21790590
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
江崎 英司 久留米大学, 医学部, 助教 (30511878)
|
Keywords | アディポサイトカイン / 内臓脂肪蓄積 / インスリン抵抗性 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
最近、脂肪細胞由来のアディポサイトカインであるvaspinが潜在的なインスリン感受性改善作用を持つ因子として注目されている。アディポサイトカインはいずれも全身の代謝調節のほか、炎症や動脈硬化進行に深く関与するが、同じくvaspinもこれらとの関与を示唆する報告があることから、動脈硬化との何らかの関係も推測される。我が国の一般住民を対象としたvaspinの疫学研究報告はまだ少ないことから、地域住民を対象として動脈硬化を含む心血管疾患リスクと血清vaspin濃度との関連について検証した。その結果多変量解析においてvaspinはBMI、HOMA指数、中性脂肪、尿酸、メタボリックシンドローム構成因子重複数およびエコー法で求めた総頸動脈内膜/中膜壁厚などと正の関連を示し、estimated GFRとは負に関連するなど、インスリン抵抗性指標や脂質、腎機能と強い関連がみられた。血清vaspin濃度3分位におけるHOMA指数の各補正平均値の比較では、vaspinとインスリン抵抗性との間に独立した有意な関連がみられた。さらに、糖尿病や高血圧治療などの補正項目を追加し、血清vaspin濃度3分位におけるIMTの各補正平均値をみても強い正のトレンドを示していた。今回の結論として、血清vaspin濃度は我が国の一般住民において各心血管リスク、更に無症候性動脈硬化症とも正の強い関連をもつことが示された。今後も前向き研究を含めたデータの蓄積がvaspinの疫学的知見のエビデンスレベルを確実に向上させ、機能解明の一助になると同時に、同項目測定による無症候性動脈硬化や血管合併症の進展などの評価などリスク評価も可能となるかもしれない。
|
Research Products
(1 results)