2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790591
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
村山 恭子 Kurume University, 医学部, 助教 (30536834)
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Keywords | 疫学 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
2008年に続き2009年も長崎県宇久町の住民検診において健常な男女住民に対しHeat Shock Protein (HSP)27を測定した。2008年と2009年に226名ずつ検診を行い対象者も増加した。HSPとは幅広い生物種で高度に保存された分子シャペロンで、その分子量によって分類されている。近年、血管障害の新しいマーカーとして重要であることが報告されてきたが、未だ十分な検討がなされていない。さらに、動脈硬化プラークや冠動脈め危険因子とも関連があると言われているが詳しいことはわかっていない。今回の調査で、HSP27と動脈硬化因子との関連を疫学的に調査した。治療歴や喫煙・飲酒の習慣はアンケート調査で行い、喫煙や飲酒は現在の習慣の有無を聞いた。安静時血圧測定や採血を行い、HSP27は凍結血清によりELISA法を用いて測定を行った。生活習慣病においては、高血圧有病率は高く、脂質異常症や糖尿病治療者は高血圧と比較して低かった。血清HSP27濃度に男女差は認めなかった。HSP27に対する単変量解析を行ったところ、HSP27と冠動脈疾患や動脈硬化危険因子の間に有意な相関がみられた。さらに調査を進めたところ喫煙や腎機能との関連性が示された。この研究において、冠動脈疾患とそれに関連があると言われているHSP27と喫煙や腎機能障害との関連が示唆された。冠動脈疾患危険因子として喫煙や動脈硬化性の腎機能障害があり、冠動脈疾患に対する病因を示す初めての大規模疫学研究となった。さらなる疫学的調査をすすめることで、今後、冠危険因子を有する患者においてHSP27は冠動脈疾患に対するバイオマーカーとなることが期待できる。今後、我々は住民検診でHSP27の検体数を更に増やすことにより、HSP27と冠動脈疾患危険因子の関連を幅広く検討したいと考えている。(774文字)
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