2010 Fiscal Year Annual Research Report
葉酸の摂取及び血清濃度と抑うつに関する職域疫学研究
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21790598
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
南里 明子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 国際臨床研究センター・疫学予防研究部, 室長 (80523646)
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Keywords | 保健栄養 / 葉酸 / 抑うつ |
Research Abstract |
これまでに、葉酸やビタミンB群、n-3系脂肪酸、野菜や魚などの単一の栄養素や食品とうつとの関連が報告されているが、単一の栄養素や食品における分析では、食品間の相互作用や相乗効果が考慮できず、また相関の高い栄養素の効果を分けて検討しにくいという問題点がある。しかしながら、年栄養疫学において注目されている食パターン分析では、食品や栄養素を組み合わせた食事のパターンで検討を行うため、このような問題点を解決でき、人が実際に食べる食事により近い効果を検討することができる。この食パターン分析を用いて、抑うつ症状との関連を検討した研究は少なく、日本で行なわれた研究はないため、日本人における食パターンと抑うつ症状との関連を検討した。食事は、食事歴法質問票を用いて評価し、52項目の食品の摂取量より3つの食パターンを抽出した。うつ症状の評価には、Center of Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)の日本語版を用い、CES-D16点以上を抑うつ症状ありとした。抽出した3つの食パターンは、1)健康日本食、2)動物性食品、3)洋風朝食パターンであった。これらのうち、野菜や果物、きのこ、大豆製品、海藻などの日本人に特徴的な食品が関連している健康日本食パターンにおいて、スコアが最も低い群に比べ高い群で、抑うつ症状のある人が有意に少なかった。動物性食品および洋風朝食パターンは、抑うつ症状との関連は認めなかった。健康日本食パターンは、葉酸やビタミンC、ビタミンEなどの摂取が多いため、これらの栄養素の複合効果により好ましい効果を示したのかもしれない。しかしながら、本結果は、断面的な関連であるため、ベースラインデータとあわせて追跡調査から得られたデータにもとづき、縦断的な関連を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的である葉酸と抑うつ症状との関連については、断面的さらには縦断的分析を行い明らかにした。また、食事パターンと抑うつとの関連についても報告し、順調に進んでいる。しかしながら、副次的目的であるビタミンB6と抑うつ症状との関連については、現在ビタミンB6を測定している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
抑うつ症状との関連が示唆されているホモシステインの代謝には、葉酸だけではなくビタミンB6およびビタミンB12も関連していることから、ビタミンB6およびビタミンB12と抑うつ症状との関連について明らかにする。
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