2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児呼吸器感染症の病原体網羅的検出法の構築および脳症、脳炎との関連解析
Project/Area Number |
21790600
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Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
改田 厚 Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences, 大阪市立環境科学研究所, 研究員 (50372131)
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Keywords | ウイルス / 呼吸器感染症 / 乳幼児 / 網羅的検出 / 脳症 / 脳炎 |
Research Abstract |
呼吸器感染症の病原体は、200種以上存在することが報告されている。原因病原体を迅速かつ正確に検出、同定することは、有効な治療法決定、感染症拡大予防のみならず病原体の詳細な流行解析が可能となることから治療、予防、流行解析の観点から重要である。本年度、我々は、呼吸器感染症病原体のうち、特にウイルス感染症に焦点を当て、近年、発見されたばかりのヒトボカウイルス(HBoV)、ヒトコロナウイルス(HKU1,NL63,229E)を含む18種のRNAウイルス、DNAウイルスを検出可能なmultiplex real-time PCR法を用いた検出法を構築した。臨床検体を用いて検討した結果、対象とするすべてのウイルスが検出可能であった。また、RSウイルスについては、サブグループA、B、ヒトパラインフルエンザウイルスについては1-4型の型別が可能であった。本年度は、検出したウイルスの中で、特に国内における流行像が不明であったHBoVを中心に解析を実施した。その結果、HBoVは春季を中心とした流行であること、HBoV陽性検体のうち約半数は他の呼吸器ウイルスとの共検出であること、定量解析の結果から単独検出検体中のウイルス量は、共検出検体と比較して有意に高いことが示された。乳幼児を主な対象とした調査では、HBoV陽性者の年齢分布は、3歳未満が全陽性者の95%を占め、特に6ヶ月-2歳において高い検出率を示した。一方、構築したmultiplex real-time PCR法を用いた結果、国内における検出が未報告であるヒトコロナウイルスHKU1を呼吸器感染症患者由来5検体から初めて検出した。現在、分子疫学的手法を用いて陽性株の遺伝学的解析を進めている。
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