2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児呼吸器感染症の病原体網羅的検出法の構築および脳症、脳炎との関連解析
Project/Area Number |
21790600
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Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
改田 厚 大阪市立環境科学研究所, 研究員 (50372131)
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Keywords | ウイルス / 呼吸器感染症 / 乳幼児 / 網羅的検出 / 脳症 / 脳炎 |
Research Abstract |
呼吸器感染症の原因病原体を迅速かつ正確に検出、同定することは、有効な治療法の選択、感染症拡大予防、流行解析の観点から重要である。昨年度構築した18種ウイルスに対するmultiplex real-time PCR法に加え、本年度は同手法を用いた細菌6種(百日咳菌、肺炎球菌、レジオネラ属菌、A群溶血性連鎖球菌、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型、マイコプラズマ)の検出系を構築し、レジオネラ属菌を除くすべての細菌について、臨床検体からの検出を確認した。ウイルスについては、2009年10月~2010年9月の1年間に採取された呼吸器感染症由来428検体のうち362検体(84.6%)から597のウイルスを検出した[1種ウイルス陽性(55.2%)、2種以上のウイルス陽性(44.8%)]。複数ウイルス陽性例は、4、5月の春季を中心に高い割合を示したことから、春季の風邪様症状は、遷延化および症状が複雑化する可能性が示唆された。ライノウイルス、ヒトボカウイルスは、他の呼吸器ウイルスとの共検出率が高いことから、共検出が臨床症状に与える影響の解析が必要と考えられた。本研究では、国内における知見が少ないライノウイルスの遺伝グループCについて流行期を解析し、主に冬季を中心とした流行であること、遺伝グループAとは異なる流行期であることを示した。また、多項目の呼吸器感染症病原体検出を継続的に実施することで、2010年夏を中心に起こったエンテロウイルス68型の流行を国内で初めて報告するとともに検出株のゲノム配列の解読、解析結果を報告した。調査した不明熱、熱性けいれん由来検体からも呼吸器ウイルスが検出され、症状との関連が示唆された。一方、脳炎・脳症由来検体については、髄液からの呼吸器ウイルス検出は稀であるが、呼吸器由来検体からは検出が散見されるため、その関連について継続した調査が必要であると考えられた。
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Research Products
(17 results)