2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール等濫用薬物のフラッシュバック現象の分子機構―マイクロRNAの役割
Project/Area Number |
21790611
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
水尾 圭祐 Sapporo Medical University, 医学部, 助教 (90459735)
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Keywords | マイクロRNA / アルコール / 薬物依存 |
Research Abstract |
本研究では、エタノール等濫用薬物の依存ならびにフラッシュバック現象におけるマイクロRNAの役割を検討するために、まず、動物を用いてエタノールの依存モデルを確立した。これらの脳内におけるマイクロRNAの発現変化をmiR-9, miR-124, miR-132, miR-133bの4種のマイクロRNAに対するプローブを用いてnorthern blot法にて検討した結果、いずれのマイクロRNAにおいても、コントロール群と比較して有意な差は得られなかった。一方、エタノール単回投与によるマイクロRNAの発現変動もあわせてした結果、エタノール投与後からmiR-124、miR-132の12時間以上におよぶ持続的な発現増加が認められた。これらの結果から、エタノール投与後に上昇が認められるmiR-124, miR-132の持続的な発現増加がエタノールの依存形成に関わっている可能性が考えられる。 近年、このようなマイクロRNAをはじめとするエピジェネティックな調節機構が様々な生理機能を担っていることが明らかとなっている。特にヒストンのアセチル化、脱アセチル化の反応はその後の遺伝子発現において重要な役割を担っている。また、いくつかのマイクロRNAの発現がヒストン脱アセチル化酵素によって調節されているという報告がなされており、エタノールが脳内におけるヒストンアセチル化を調節することでマイクロRNAの発現を調節している可能性も考えられる。そこで、エタノールによる脳内におけるヒストンアセチル化の変化をwestern blot法にて検討した。その結果、エタノール投与後の脳内においてヒストンアセチル化の増加ならびにヒストン脱アセチル化酵素の現象が認められた。このことより、エタノール投与後の脳内におけるマイクロRNAの発現変動にヒストンのアセチル化が一部関与している可能性が示唆された。
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